単純閉曲線.単連結領域および多重連結領域

 単純閉曲線 とは自分自身とはどことも交差しない曲線のことです.数学的には, xy 平面において x = \phi(t),\ y = \psi(t) なるパラメトリック方程式により定義される曲線のことです.ここで  \phi および  \psi は単一値で t_1 \le t \le t_2 の区間で連続です.仮に \phi(t_1) = \phi(t_2) および \psi(t_1) = \psi(t_2) ならその曲線を 閉曲線 と言います.仮に \phi(u) = \phi(v) および \psi(u) = \psi(v) u = v の時のみ(u = t_1 および v = t_2 のような特殊例を除く),その曲線は閉じており自身とは交差せず,ゆえに単純閉曲線です.ここでも特に明記しない限り,次のように前提を置きます.すなわち \phi および \psit_1 \le t \le t_2 では区間的に微分可能です.

 仮にある平面領域が以下の属性を有する場合,つまりいかなる閉じた曲線もその領域を離れることなく一点に連続的に縮小可能ならば 単連結 と呼びます.それ以外の場合には 多重連結 と呼びます.

Fig6-xx

 変数 tt_1 から t_2 に変化するにつれ,その平面曲線はある意味ある方向に記述されます.xy 平面の曲線にとって,我々は任意にこの方向を または と記述します.これはある人がこの曲線をこの方向に通過する際にその頭が指す方向を正の z 方向とすると,その曲線で囲まれた方向が進行方向の常に左にあるか右にあるかによります.仮に xy 平面において単純閉曲線を見下ろすと,曲線を反時計回りに通過することが正であり,逆に時計回りに通過することが負であると言えます.