食物繊維

DietaryFiber

 食物繊維の摂取不足と生活習慣病との関連の報告は多く,目標量が設定されています.心筋梗塞,脳卒中,循環器疾患,糖尿病,乳がんや胃がんなどです.しかし大腸がんとの関連についての報告は一致していません.日常生活で摂取可能な食物繊維の量と便秘についての関連は明らかではありません.

介入試験によるメタアナリシスでは食物繊維摂取量と血圧, LDL コレステロールおよび空腹時血糖との間に負の相関が示唆されています.

 2015 年版において食物繊維の食事摂取基準を算定するにあたっては理想値と実態とのすり合わせがなされています.平成 22 年および 23 年の国民健康・栄養調査に基づく中央値は 13.7 g/d ですが,プール解析による理想値は 24 g/d です.この中間値が 18.9 g/d であり,成人における参照体重と性別・年令階級ごとの参照体重との比から体表面積を外挿し,性別・年齢階級ごとの目標量としています.妊婦・授乳婦については付加量は算定していません.1 歳から 5 歳の小児については摂取量の評価が困難であり算定していません.サプリメントによる食物繊維の摂取による効果は保証していません.

\displaystyle 18.9\ \mathrm{(g/d)}\times [\mathrm{Reference\ Weight\ (kg)}/57.8\ \mathrm{(kg)}]^{0.75}
食物繊維の食事摂取基準 (g/d)(2015 年版)
性別 男性 女性
年齢 目標量 目標量
0-5 M
6-11 M
1-2
3-5
6-7 ≥ 11 ≥ 10
8-9 ≥ 12 ≥ 12
10-11 ≥ 13 ≥ 13
12-14 ≥ 17 ≥ 16
15-17 ≥ 19 ≥ 17
18-29 ≥ 20 ≥ 18
30-49 ≥ 20 ≥ 18
50-69 ≥ 20 ≥ 18
70- ≥ 19 ≥ 17
妊婦
授乳婦

 2010 年版における食物繊維の食事摂取基準を算定する根拠となったのは Dietary Fiber and Risk of Coronary Heart Disease という論文ですが,ここで摂取量 24 g/d 以上で死亡率の低下,摂取量 12 g/d 未満で死亡率の上昇が観察されており,その中間値の 18 g/d を基準としています.平成17年および18年の国民健康・栄養調査では成人の摂取量の中央値は男性 12.3-16.3 g/d, 女性 11.8-16.1 g/d であり 24 g/d は現実的でないと判断されたものと推測されます.

食物繊維の食事摂取基準 (g/d)(2010 年版)
性別 男性 女性
年齢 目標量 目標量
0-5 M
6-11 M
1-2
3-5
6-7
8-9
10-11
12-14
15-17
18-29 ≥ 19 ≥ 17
30-49 ≥ 19 ≥ 17
50-69 ≥ 19 ≥ 17
70- ≥ 19 ≥ 17
妊婦
授乳婦

参照:
日本人の食事摂取基準(2015 年版)炭水化物 (pdf)
日本人の食事摂取基準(2010 年版)炭水化物 (pdf)