周辺度数からクロス表を作成するには

 クロス表から Fisher の直接確率検定を行う場合,周辺度数 (marginal total) が一定ですので,真陽性の度数 a さえ決まれば残りは自動的に決まります.下記の四分表はそれを示しています.すべての度数は 0 以上の整数ですから,a の取りうる範囲は 0 から T または P のいずれか小さい方までです.

 ここで重要なことは,Fisher の直接確率検定による確率 p は a の関数になっていることです.これを超幾何分布と言います.仮に POSITIVE と NEGATIVE とが何らかの連続変数の閾値によって分けられている場合,閾値を変化させることで周辺度数である陽性の度数 P,陰性の度数 N – P  および真陽性の度数 a も変化します.真の度数 T および偽の度数 N – T は閾値によって変化することはありません.つまり Fisher の直接確率検定による確率 p は閾値の関数になっています.

 通常ですと論文には総数の N, 真の度数 T, 陽性の度数 P, 更に感度と特異度が記載されており,ここから四分表を再現できるようになっています.

  TRUE FALSE Marginal total
POSITIVE a P – a P
NEGATIVE T – a a + N – P – T N – P
Marginal total T N – T N 

 最初に分かっているのは下記のように総数 N,陽性の度数 P,真の度数 T のみです.

  TRUE FALSE Marginal total
POSITIVE     P
NEGATIVE      
Marginal total T   N 

 次に陰性の度数 N-P,偽の度数 N-T を計算で求めます.これで周辺度数 (marginal total) が得られます.

  TRUE FALSE Marginal total
POSITIVE     P
NEGATIVE     N – P
Marginal total T N – T N 

  a を与えると,偽陰性と偽陽性が求められます.a は TRUE に感度をかけて求めます.

  TRUE FALSE Marginal total
POSITIVE a P – a P
NEGATIVE T – a   N – P
Marginal total T N – T N 

  最後に真陰性が得られます.

  TRUE FALSE Marginal total
POSITIVE a P – a P
NEGATIVE T – a a + N – P – T N – P
Marginal total T N – T N