行列式の定理

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  1. 行列式の値は,行と列が入れ替わっても変化しません.記法では \det(A) = \det(A^T).
  2. 任意の行または列の1つを除く全要素がゼロならば行列式の値は,そのゼロでない要素の余因子の積に等しくなります.特に,ある行または列の全要素がゼロならば行列式もゼロになります.
  3. 任意の 2 行または 2 列を交換すると行列式の符号が変化します.
  4. 任意の行または列の全要素にある数をかけると,その行列式もその数でかけられたものになります.
  5. 任意の 2 行または 2 列が同じか比例するならその行列式はゼロになります.
  6. 各行または各列の要素を 2 項で表現できるなら,その行列式は同次の二つの行列式の和で表現できます.
  7. 任意の行または列の要素にある数をかけ,任意の他の行または列の対応する要素に足していくと,その行列式の値は同じになります.
  8. 仮に A および B が同次の正方行列なら
    \det(AB) = \det(A)\det(B)\cdots(11)
  9. 他の行または列の余因子による任意の行または列の要素の積和はゼロとなります.記法では
    \displaystyle \sum^n_{k=1}a_{qk}A_{pk} = 0 or \displaystyle \sum^n_{k=1}a_{kq}A_{kp} = 0 if p \ne q\cdots(12)

    仮に  p = q なら \det(A) の和は (10) によります.

  10. ここで v_1,\ v_2,\ \cdots,\ v_nn 次正方行列 A の行ベクトルまたは列ベクトルを表すとします.すると \det(A) = 0 となるのはすべてゼロではない以下の条件を満たす定数またはスカラー \lambda_1,\ \lambda_2,\ \cdots,\ \lambda_n が存在するときのみです.
    \lambda_1v_1 + \lambda_2v_2 + \cdots + \lambda_nv_n = O \cdots(13)

    ここで O はヌル行列または零行列です.仮に条件式 (13) が満たされるならベクトル v_1,\ v_2,\ \cdots,\ v_n線形従属 であると示すことができます.ある行列 A\det(A) = 0 を満たすなら 特異行列 と呼びます.仮に \det(A) \ne 0 であるなら A非特異行列 です.

 実際には,定理 7 によりある行または列の一つを除いた全要素を 0 で置換し,更に定理 2 を用いて n – 1 次の新しい行列式を得ることで n 次の行列式を評価できます.この方法を続けることで,最終的に 2 次または 3 次の行列式に到達するため,評価は容易です.

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投稿者: admin

趣味:写真撮影とデータベース. カメラ:TOYO FIELD, Hasselblad 500C/M, Leica M6. SQL Server 2008 R2, MySQL, Microsoft Access.

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