Meta-Analysis Comparing Mediterranean to Low-Fat Diets for Modification of Cardiovascular Risk Factors

Meta-Analysis Comparing Mediterranean to Low-Fat Diets for Modification of Cardiovascular Risk Factors

Abstract

Background

Evidence from individual trials comparing Mediterranean to low-fat diets to modify cardiovascular risk factors remains preliminary.

Methods

We systematically searched MEDLINE, EMBASE, Biosis, Web of Science, and the Cochrane Central Register of Controlled Trials from their inception until January 2011, as well as contacted experts in the field, to identify randomized controlled trials comparing Mediterranean to low-fat diets in overweight/obese individuals, with a minimum follow-up of 6 months, reporting intention-to-treat data on cardiovascular risk factors. Two authors independently assessed trial eligibility and quality.

Results

We identified 6 trials, including 2650 individuals (50% women) fulfilling our inclusion criteria. Mean age of enrolled patients ranged from 35 to 68 years, mean body mass index from 29 to 35 kg/m2. After 2 years of follow-up, individuals assigned to a Mediterranean diet had more favorable changes in weighted mean differences of body weight (−2.2 kg; 95% confidence interval [CI], −3.9 to −0.6), body mass index (−0.6 kg/m2; 95% CI, −1 to −0.1), systolic blood pressure (−1.7 mm Hg; 95% CI, −3.3 to −0.05), diastolic blood pressure (−1.5 mm Hg; 95% CI, −2.1 to −0.8), fasting plasma glucose (−3.8 mg/dL, 95% CI, −7 to −0.6), total cholesterol (−7.4 mg/dL; 95% CI, −10.3 to −4.4), and high-sensitivity C-reactive protein (−1.0 mg/L; 95% CI, −1.5 to −0.5). The observed heterogeneity across individual trials could, by and large, be eliminated by restricting analyses to trials with balanced co-interventions or trials with restriction of daily calorie intake in both diet groups.

Conclusion

Mediterranean diets appear to be more effective than low-fat diets in inducing clinically relevant long-term changes in cardiovascular risk factors and inflammatory markers.

地中海料理と低脂肪食の比較による心血管危険因子の修飾に関するメタ解析

 2012年4月25日の記事では地中海料理が心血管危険因子を減少させるという内容でした.死亡や心筋梗塞・脳卒中などの臨床転帰については評価していませんでした.今回は PREDIMED study というより大規模な試験の結果幾つかの論文が発表され,そのメタ解析を行った論文を紹介します.残念ながら臨床転帰について評価した論文が1つしかなかったため,臨床転帰についてのエビデンスは得られていません.

 考察の文中の丸括弧は参考文献の番号です.和訳の瑕疵の責任は私にあります.

地中海料理と低脂肪食の比較による心血管危険因子の修飾に関するメタ解析

要約

背景

 地中海料理と低脂肪食を比較した個々の試験からの心血管危険因子に対する修飾のエビデンスは暫定的なままである.

方法

 我々は MEDLINE, EMBASE, Biosis, Web of Science, Cochrane Central Register of Controlled Trial を 2011 年1月まで全体的に調査し,その道の専門家に接触し,太り過ぎ又は肥満の人の地中海料理と低脂肪食との無作為化比較試験を同定し,最低6ヶ月間経過観察し,心血管危険因子の治療目的のデータを報告したものについて.2名の著者が別々に試験の有用性と品質を評価した.

結果

 我々は6つの試験を同定した.2650 名(50% は女性)が選択基準を満たしていた.参加した患者の平均年齢は 35 歳から 68 歳の範囲で,平均 BMI は 29 から 35 kg/m2 であった.2年間の経過観察の後,地中海料理に割り付けられた個人には加重平均からの差においてより好ましい変化がみられた.つまり,体重 (- 2.2 kg; 95% CI, – 3.9 to – 0.6) , BMI ( 0.6 kg/m2; 95% CI, – 1 to – 0.1), 収縮期血圧 (- 1.7 mmHg; 95% CI, – 3.3 to – 0.05), 拡張期圧 (- 1.5 mmHg; 95% CI, – 2.1 to – 0.8), 空腹時血糖値 (- 3.8 mg/dL; 95% CI, – 7 to – 0.6), 総コレステロール (- 7.4 mg/dL; 95% CI, – 10.3 to – 4.4), 高感度 CRP (- 1.0 mg/L; 95% CI, – 1.5 to – 0.5). 個々の試験の間に観察された不均一性は,概して,共同介入での調整試験や両食事群共に日々のカロリーを制限する試験などの制限分析により排除された.

結論

 地中海料理は低脂肪食よりも,臨床に関する心血管危険因子と炎症性マーカーの長期的変化も含めて効果的であるように見える.

The American Journal of Medicine (2011) 124, 841-851

 不健康な食事と運動不足は米国における心血管疾患の主要な危険因子であり,2000 年においては 40 万人以上が死亡している.心血管危険因子管理の食事による別のアプローチが調査された.低脂肪,高炭水化物食は3年以上に渡る体重減少,2型糖尿病の減少,高血圧管理の改善などが臨床試験において示された.しかしながら,心血管死亡の有益性という観点からのエビデンスが欠落している.

 伝統的な地中海料理は,地中海料理は持続的な体重減少に結びつくというエビデンスが欠落しているにもかかわらず,健康的な食事のモデルとしてますます推進されつつある.それには以下の特徴がある.一価不飽和脂肪酸,植物性蛋白質,全粒穀物,そして魚類の大量摂取.またアルコール類を中等度摂取し,赤身の肉類や脱穀した穀物,菓子類の消費が少ないことである.いくつかのコホート研究では地中海料理は心血管疾患や癌,他の全ての死亡率同様,冠動脈疾患や脳卒中の発生率減少に関連している.

 今回のメタ解析の目的は,最低6ヶ月間の経過観察期間があり,心血管危険因子において地中海料理と低脂肪食を比較した無作為比較試験のエビデンスをまとめることである.我々は解析を太り過ぎか肥満で,最低でも一つ以上の心血管危険因子を持つ人に限定した.というのも,正常体重の人における2種の食事の効果を比較した試験が皆無であったからである.

方法

文献検索

 我々は MEDLINE, EMBASE, Biosis, Web of Science, 対照試験の Cochrane 中央レジスタのデータベースを ”diets, fat restricted” および “Mediterranean diets” のキーワードで検索した.我々は論文を公開型臨床試験として索引付けされたものか,無作為化に根ざすものを題名か要約に含むものに限定して検索した.また同定された参考文献リスト,進行中または計画中の臨床試験登録簿,最近出版された論説やトピックのレビューを検索し,更に適格な試験がないかその道の専門家にコンタクトを取った.言語に制限は設けなかった.

試験の選択と品質評価

 2名の著者が別々に試験の適格性と品質を評価した.適格な試験は地中海料理と低脂肪食を比較している必要があり,対象は太り過ぎか肥満で少なくとも一つ以上の心血管危険因子を有するか(一次予防),既に冠動脈疾患が確定している(二次予防)必要があった.また無作為比較したデザインで最低でも6ヶ月以上の経過観察期間を必要とすること,治療目的のデータ,つまり体重,血圧,脂質の変化を報告していることが求められた.我々は地中海料理を次のように定義した.中等量の脂肪摂取(主な脂肪源はオリーブオイルとナッツ類),豊富な野菜,赤身の肉が少ない(牛肉と羊肉を鶏肉と魚に置き換えたもの).低脂肪食は以下のように定義した.エネルギー摂取総量のうち脂肪の占める割合が 30 % 以下を目的としたもの.我々は治療の割付の隠蔽に従って試験の品質を評価した.つまり患者や介護者,臨床評価者にも盲検化していること.また完全に臨床経過を観察した患者の割合,患者利益のために早期に打ち切っていないもの.

転帰とデータ抽出

 2名の著者が別々に,出版された試験からのデータと独自の調査者からの付加的データを抽出した.我々は以下をベースラインの心血管危険因子とみなし,2年間の経過観察後の臨床転帰を目的とした.つまり体重,BMI, ウエスト周囲径,収縮期圧および拡張期圧,HDL コレステロール値,LDL コレステロール値,高感度 CRP 値,空腹時血糖値と食感のインスリン値の平均差である.加えて可能な場合にはどのような臨床転帰も抽出した.

統計解析

 我々は治療効果を蓄積し,無作為効果モデルを用いて,無作為化した地中海料理群と低脂肪群の間のすべての危険因子の加重平均の差を計算した.一つの試験からは危険因子の平均値の偏差である標準偏差が見られなかったため,最初に,平均値からの偏差を与えられたP値に対応するt-分布のパーセントポイントで除して求まる標準誤差を計算した.次に標準誤差に標本数の平方根を乗じて標準偏差を計算で求めた.

 我々は漏斗散布図 (funnel plot) を用いて出版バイアスの存在を調査した.我々はコクランQテストを用いて不均一性を検定し,目的の全心血管危険因子に渡る治療効果の矛盾度 (I2; 研究全体の全分散で,確率よりも不均一性による) を計測した.我々は含まれる試験の品質の要素に従って治療効果を調べるために感度分析を行った.一次予防試験と二次予防試験,共同介入について調整済みの試験と調整していない試験,日々のカロリー摂取量を制限した試験と制限しない試験.データ解析には Stata 10.1 (Stata Corp LP, College Station, Tex) を用いた.

結果

 3650 名の患者を含む7つの試験が適合基準を満たした (Figure 1).同定された試験の1つに Indo-Mediterranean Diet heart Study がある.この試験は 1000 名もの患者を有しながらその妥当性が厳しく疑問視されているため,我々は最初この結果を一次解析の結果に含めなかった.しかしながら,この論文が撤回されることはなかったため,感度分析にこの試験結果を加えて結果が変化するか評価した.我々は Lyon Heart Study については解析に含まなかった.というのは,心血管危険因子がプロトコールにおいて評価されているのみで,治療目的が根本になかったからである.

Figure 1

 相対的に少数の含まれた試験では,全ての転帰の精度に対して標準化した効果の散布図はそのようなバイアスを示さなかった (P > 0.1) が,出版バイアスの敏感な探索を除外した.

 含まれた試験の特性と方法論的品質は Table 1 にまとめた.試験の経過観察期間として2年間のものが4つ,4年間のものが1つあった.PREDIMED trial は未だに進行中であり,平均観察期間は6年間を予定している.我々はこの試験の2年間の観察後のデータをメタ解析に採用した.ただし採血結果は除外した.1年間の観察後のものであり,他の試験では2年後の採血を蓄えていたからである(詳細は付録1を参照のこと).

 個人の含まれるベースライン特性は Table 2 にまとめた.参加した患者の平均年齢は 35 歳から 68 歳までの範囲であった.平均 BMI は 29 から 35 kg/m2 の範囲であった.唯一の二次予防試験があり,心血管疾病の確定した個人を含むさらに唯一の試験でもあった(含まれる個人の 40% にあたる).1つを例外として全ての試験は,自由気ままな生活をしている個人に対して,食生活を変更するのに積極的に同意することを介入するよう求めていた.Daily-Dose Consensus Interferon and Ribavirin: Efficacy of Combined Therapy (DIRECT) trial においては,イスラエルの研究所の職場のカフェテリアでのセルフサービスにおける昼食に対して食材を提供した.2つの試験で両群にカロリー摂取を制限し,1つの試験では地中海料理に無作為割付された被験者にのみカロリー制限を課した.他のすべての試験では2群のうちいずれにもカロリー制限は課されなかった.

 地中海食に割り付けられた被験者の持続率は 85 % から 95 % の間であったが,低脂肪食に割り付けられた群では 78 % から 93 % であった.ベースラインと2年間観察後の間に食事摂取量の平均変化と,ベースラインの食事摂取量とは Table 3 にまとめた.心血管危険因子のベースライン値と2年間観察後の変化とを付録2に示した.

試験間の不均衡型共同介入

 2つの試験では,低脂肪食群ではそうではなかったのだが,地中海料理に無作為に割り付けられた参加者だけが特定の個別プログラムを提供された.これらの試験の1つでは低脂肪食群 (71 分から 102 分) よりも地中海料理群 (64 分から 175 分) において身体運動量が増加した (P = 0.009).PREDIMED study においては地中海料理に無作為に割り付けられた参加者だけが個別に意欲を高めるグループ教育セッションを四半期ごとに受け,1日 30 g のミックスナッツ類か,1週間に 1 L のオリーブオイルを無料で提供された.3つの試験において,地中海料理群か低脂肪食群に割り付けられたかで試験デザインには全く違いはなかった.

体重,BMI, ウエスト周囲径

 地中海料理群に無作為割付された被験者では,低脂肪食群の被験者よりも体重,BMI,ウエスト周囲径がより減少した.2年後,地中海料理群と低脂肪食群の間の体重の加重平均偏差 (WMD は – 2.2 kg (95% CI, – 3.9 to – 0.6, P < 0.001, I2 = 97%) であり,BMI の加重平均差は – 0.6 kg/m2 (95% CI, - 1 to – 0.1, P < 0.001, I2 = 94%) であり,ウエスト周囲径の 加重平均差 は – 0.9 cm (95% CI, -2 to – 0.2, P < 0.001, I2 = 92 %) であった (Figure 2).

Figure 2

血圧

 低脂肪食に無作為割付された被験者よりも地中海料理に無作為割付された被験者のほうが収縮期圧,拡張期圧ともにより順調に低下した (Figure 2).収縮期圧の加重平均差は – 1.7 mmHg (95% CI, – 3.4 to – 0.1, P < 0.001, I2 = 89%) であり,拡張期圧のそれは – 1.5 mmHg (95% CI, - 2.1 to – 0.8, P = 0.03, I2 = 60%) であった (Figure 2).

脂質

 低脂肪食に無作為割付された被験者よりも地中海料理に無作為割付された被験者のほうが,総コレステロール値および中性脂肪値はより順調に変化した.総コレステロール値の加重平均差は – 7.4 mg/dL (95% CI, – 10.3 to – 4.4, P = 0.002, I2 = 73%) であった (Figure 3).LDL コレステロール値(加重平均差 – 3.3 mg/dL; 95% CI, – 7.3 to -0.6; P = 0.3, I2 = 23%) や HDL コレステロール値 (加重平均差0.9 mg/dL; 95% CI, – 1.9 to – 3.8, P < 0.001, I2 = 99%) においては統計的有意差は全く認めなかった.

Figure 3

高感度 CRP

 高感度 CRP (hs-CRP) は低脂肪食群に無作為割付された被験者よりも地中海料理群に無作為割付された被験者のほうがより順調に低下した.高感度 CRP の加重平均差は – 1.0 mg/L (95% CI, – 1.5 to – 0.5, P < 0.001, I2 = 82%) であった (Figure 3).

空腹時血糖値と血清インスリン

 血糖値は低脂肪食群に無作為割付された被験者よりも地中海料理に無作為割付された被験者のほうがより順調に低下した (加重平均差 – 3.8 mg/dL, 95% CI, – 7.0 to – 0.6, P = 0.18, I2 = 97%) (Figure 3).2群間で血清インスリン値に統計的有意差はなかった (加重平均差 – 1.1 microU/ml, 95% CI, – 2.9 to 0.8, P < 0.001, I2 = 98%).

臨床転帰

 唯一臨床転帰を報告した試験があった.低脂肪食群において3名の非致死性心筋梗塞と1名の脳卒中が発生し,地中海料理群においては1名の非致死性心筋梗塞と3名の脳卒中が発生した.死亡例の報告はなかった.

感度解析

 我々が全ての試験について,治療法を隠して割り当てたり臨床転帰を盲検化したりして評価した試験に制限した時でも,点推定値には変化がなかった.メタ解析に Sinth らの試験結果を加えた時でもそうだった.

 一次予防試験でも二次予防試験でも,転帰の点推定値の大部分は地中海料理に無作為割付した被験者を支持した.HDL コレステロール値における差異の点推定値は一次予防試験においてのみ地中海料理を支持したが,二次予防試験ではそうではなかった.ただしこれらの変化は統計的有意差がなかった.

 我々は調整済み共同介入と無調整共同介入,毎日のカロリーを制限した群と制限しない群とを比較したが,どの心血管危険因子においても平均値の変化の点推定値に質的な差は認めなかった.どちらの群においても,調整済み共同介入試験や毎日のカロリーを制限した試験に限定する根拠は全くなくなってしまった.ただし BMI, ウエスト周囲径,HDL コレステロールは別である.

考察

 このメタ解析で利用可能な全ての無作為比較試験で,太り過ぎ又は肥満の個人を地中海料理と低脂肪食とで比較すると,殆どの心血管危険因子と血管炎症性マーカーとは地中海料理に割付された個人でより良く改善した.観察された差異は控えめであったものの,変化の方向性は地中海料理を一貫して支持するものであった.個々の試験全体に渡って観察された不均一性は,調整済み試験デザインに試験の解析を制限することや,両食事群において日々のカロリー摂取を制限することで除去されるだろう.臨床転帰の根拠は結論の出ないままである.臨床転帰を報告した試験が1つしかなかったからである.

 現在の研究は強度と限界を有している.我々は包括的文献検索を行い,増加する心血管危険因子を個人において治療目的のデータを報告している無作為化比較試験を抽出した.それにより我々は幅広い心血管危険因子に対する2つの食事群のインパクトを評価した.正規の検定はいかなる出版バイアスも示していなかったが,相対的に少数の試験が含まれ,出版バイアスの検出力が低いため,そのようなバイアスは確実に除外しきれない.含めた試験のうち2つだけが全ての転帰のうち盲検化した転帰を報告したのだが,含まれる試験の結果は合理的に良いものであった.一つを除く他のすべてが隠蔽した治療割り付けを報告し,90% 以上の追跡率であったためである.加えて試験品質や人口の研究,共同介入を占める様々な感度解析に渡って我々の解析結果が堅牢であると証明された.

 我々の解析にはいくつかの限界がある.たった6つの試験に基づいており,うち3つの試験は同じ著者グループから出版されたものである.我々は解析された転帰について最も著明な差異を観察した.しかしながら,調整済み共同介入試験に解析を限定しても大部分の心血管危険因子は地中海料理群により順調に修飾されており,BMI, ウエスト周囲径,HDL コレステロール値以外には心血管因子の不均一さにとって何の根拠も見いだせなかった.両食事群にカロリー制限を課した試験に解析を限定しても同じであった.

 純粋に二次予防試験に限定した試験が1つだけ同定されたが,我々の結果は一次予防における心血管因子の修飾という点に限定していた.一次予防試験と二次予防試験との間では心血管危険因子の変化のいかなる主要な差異も感度解析では明らかではなかった.そのため,地中海料理は低脂肪食に比べて一次予防だけでなく二次予防にも優れているのではないかと示唆された.

 規定の食事を遵守させるという参加者のクオリティ・オブ・ライフについて言及した試験は同定されなかった.故に,地中海食と低脂肪食に無作為割付された参加者の間での潜在的な生活の質の際についての情報が我々にはない.しかしながら,地中海料理と低脂肪食の持続率が近似しており,生活の質の差はそれほど大きくないのだろう.

 我々のメタ解析の方法論では,心血管因子を一部有益に修飾するかもしれないという地中海料理のいかなる個別の要素にも至らなかった.我々のメタ解析の結果は,個別の食事の要素というよりも全体として特定の食事の型の方に注目してみると,心血管危険因子を低下させるのには地中海料理の不均一なパターンが有効である事を意味する.

 我々が採用した試験は1つを例外に皆地中海諸国で行われたものである.低脂肪食に無作為割付された個人がある程度地中海式料理を続けているかもしれないため,我々の結果の強度に加わるかもしれない.一方,我々の結果を地中海諸国でない国に一般化することへの疑問も出てくる.

 2つの食事間での臨床転帰の差を検出するのに提供された試験は1つもなかった.しかしながら,我々のメタ解析の所見は心血管疾病の転帰に対する地中海料理の効果を証明する前向きコホート研究によって支持されている.自分で食事パターンを選ばせたコホート研究による根拠というものは,しかしながら交絡によるバイアスを受けている.潜在的な交絡を除外するために,患者にとって重要な転帰についての特定の食事の効果を証明する無作為比較試験によるバイアスのない根拠が必要とされている.これまでのところ,地中海料理と低脂肪食の臨床転帰を比較した二次予防で,決して一次予防ではない試験というのは2つしか出版されていない.不幸なことに,これらの試験の1つの主任調査官の整合性について深刻な懸念が生じている.他の試験では,1994 年からの Lyon Diet Heart Studyなど,心臓死と非致死性心筋梗塞を組み合わせた一次エンドポイントは,平均27ヶ月間の経過観察後では 73% (95% CI, 41% – 88%) と印象的に減少している.Lyon Diet Heart Study はたった 41 例の主要転帰イベントの後,利益が明らかになるには早すぎる段階で終了してしまった.早期中止の利益は正味の健康上の利益を過大評価する結果となるかもしれない.加えて,Lyon Heart Diet Study に参加した患者の誰もが一度にスタチン療法を受けるのは難しかった.それゆえ,心血管イベント高リスク患者において,地中海料理の有益性がスタチン療法に次ぐのかどうかは不明のままである.

 我々のメタ解析と2つの二次予防試験の限界のため,公衆衛生の観点からいや増す心血管リスクにおいて個人における地中海料理の実施を行う前に,更なる根拠が必要とされている.心血管危険因子に対して地中海料理において観察された有益な結果と心血管罹患率と死亡率は,最低でもあと1つ,心血管疾患が十分な予防試験で再現されなければならない.

 まとめると,我々のメタ解析は,低脂肪食と比較して,大部分の心血管危険因子と炎症マーカーに対する地中海料理の順調な効果を示唆した.個別の危険因子に対する効果が観察されたものの,広範囲な心血管危険因子に渡る一貫した効果は,最終的に心血管転機に繋がる可能性もある.

付録1

採用した試験の特性

 Table 1 に採用した試験の特性をまとめた.1つの試験では冠動脈疾患と診断確定した患者だけを含めていた (26).1つの試験では肥満か,2型糖尿病であるか,あるいは心血管疾患であると確定診断した被験者を登録した (25).4つの試験は一次予防試験であり,肥満か,運動不足か,閉経後の女性か,メタボリックシンドロームで運動不足の被験者か,新たに診断された2型糖尿病で太り過ぎの被験者か,または心血管高リスク(2型糖尿病か,3つ以上の心血管危険因子を有する)の個人であった.後者の試験では地中海食に無作為割付された被験者は,1週間に 1 L のバージンオリーブオイルを提供されるか,無料のナッツ類 (30g/day) を提供されるかに無作為割付された.この解析のために我々は無料のバージンオリーブオイルと無料のナッツ類に割り付けられた被験者の間の差異なしに,2群を1つにまとめた.

 採用した試験の経過観察期間は2年間のものが4つ,4年間のものが1つあった.PREDIMED trial は現在継続中であり,平均観察期間は6年間の予定である.我々はこの試験では検査値以外の解析には2年後のデータをメタ解析に採用した.検査値は1年後の観察後にしか採取しておらず,他の試験の2年目の脂質値はプールしてある.

試験の品質

 試験参加者の割り付けは5つの試験で盲検化され,1つの試験でもおそらく盲検化されていた.すべての試験はオープンデザインであった.全ての転帰を盲検化した転帰の評価は2つの試験で行われ,検査値の解析のみ盲検化した試験が2つあった.1つの試験では全く盲検化が行われず,1つの試験ではどの転帰でも盲検化転帰評価を行ったか否か言及がなかった.観察から失われ脱落した参加者について全て記述してあったのは1つの試験で,部分的に記述してあったのは3つの試験だった.2つの試験では記述がなかった.6つの採用された試験のうち4つでは経過観察から脱落したのは 10 % 未満であった.有益性故に早期中止した試験はなかった.2名のレビュアーは採用した試験について方法論的質に全て賛同した.3つの試験では欠落したデータを説明してきた方法が不明のままであり,2つの試験では最終値を繰り越す方式であり,1つの試験ではマルチレベルランダム効果モデルであった.

Dietary Fiber and Risk of Coronary Heart Disease

This article has reported the association between dietary fiber intakes and the risk of cardiovascular disease, that it has been shown that total fiber intakes, cereal fiber intakes and fruit fiber intakes have inverse association, in contrast, vegetable fiber has no association.

In the Dietary Reference Intakes for Japanese 2015 edition, they have described “If they would intake 24 g/d or greater of dietary fiber, they could avoid the risk of coronary death.”, but I couldn’t find the describe in the original article.

Dietary Fiber and Risk of Coronary Heart Disease

A pooled Analysis of Cohort Studies

Mark A. Pereira, PhD; Eilis O’Reilly, MSc; Katarina Augustsson, PhD; Gary E. Fraser, MBChB, PhD; Uri Goldbourt, PhD; Berit L. Heitmann, PhD; Goran Hallmans, MD, PhD; Paul Knekt, PhD; Simin Liu, MD, ScD; Pirjo Pietinen, DSc; Donna Spiegelman, ScD; June Stevens, MS, PhD; Jarmo Virtamo, MD; Walter C. Willett, MD; Alberto Ascherio, MD

Background Few epidemiologic studies of dietary fiber intake and risk of coronary heart disease have compared fiber types (cereal, fruit, and vegetable) or included sex-specific results. The purpose of this study was to conduct a pooled analysis of dietary fiber and its subtypes and risk of coronary heart disease.

Methods We analyzed the original data from 10 prospective cohort studies from the United States and Europe to estimate the association between dietary fiber intake and the risk of coronary heart disease.

Results Over 6 to 10 years of follow-up, 5249 incident total coronary cases and 2011 coronary deaths occurred among 91 058 men and 245 186 women. After adjustment for demographics, body mass index, and lifestyle factors, each 10-g/d increment of energy-adjusted and measurement error–corrected total dietary fiber was associated with a 14% (relative risk [RR], 0.86; 95% confidence interval [CI], 0.78-0.96) decrease in risk of all coronary events and a 27% (RR, 0.73; 95% CI, 0.61-0.87) decrease in risk of coronary death. For cereal, fruit, and vegetable fiber intake (not error corrected), RRs corresponding to 10-g/d increments were 0.90 (95% CI, 0.77-1.07), 0.84 (95% CI, 0.70-0.99), and 1.00 (95% CI, 0.88-1.13), respectively, for all coronary events and 0.75 (95% CI, 0.63-0.91), 0.70 (95% CI, 0.55-0.89), and 1.00 (95% CI, 0.82-1.23), respectively, for deaths. Results were similar for men and women.

Conclusion Consumption of dietary fiber from cereals and fruits is inversely associated with risk of coronary heart disease.

Arch Inern Med. 2004; 164: 370-376


The Dietary Reference Intakes for Japanese (2015 edition) Carbohydrate (pdf)
The Dietary Reference Intakes for Japanese (2010 edition) Carbohydrate (pdf)

Dietary Fiber and Risk of Coronary Heart Disease

 食物繊維摂取量と心血管疾患リスクの関係を調査したプール解析の報告です.食物繊維総量,穀物繊維,果実繊維については負の相関が見られましたが野菜繊維については有意ではありませんでした.

 ところで,この文献を参照した日本人の食事摂取基準 2015 年版では『1 日 24 g 以上の繊維摂取で心筋梗塞死亡率が低下する』と述べていましたが本文にはそのような記述はありませんでした.

Dietary Fiber and Risk of Coronary Heart Disease

A pooled Analysis of Cohort Studies

Mark A. Pereira, PhD; Eilis O’Reilly, MSc; Katarina Augustsson, PhD; Gary E. Fraser, MBChB, PhD; Uri Goldbourt, PhD; Berit L. Heitmann, PhD; Goran Hallmans, MD, PhD; Paul Knekt, PhD; Simin Liu, MD, ScD; Pirjo Pietinen, DSc; Donna Spiegelman, ScD; June Stevens, MS, PhD; Jarmo Virtamo, MD; Walter C. Willett, MD; Alberto Ascherio, MD

要約

背景:食物繊維摂取量と心血管疾患リスクを比較した研究はこれまで殆どなく,食物繊維の種類(穀物,果実または野菜)の比較や性に特異的な結果を含むものに留まっていた.本試験の目的は食物繊維とその種類と心血管疾患リスクとのプール解析を行うことであった.

方法:我々は米国とヨーロッパの前向きコホート試験10件のオリジナルデータを解析し,食物繊維摂取量と心血管疾患の関連を推定した.

結果:91,058 名の男性および 245,186 名の女性を 6 から 10 年以上の期間経過観察し,5,249 件の冠動脈症例,2,011 名の冠動脈疾患死亡が発生した.人口学的因子,体格指数,生活スタイル因子での調整後では,エネルギー調整および食物繊維総量の測定誤差に関して 10 g/day 増加するごとに全心血管イベントの 14 % 減少と相関しており,相対リスクは 0.86, 95 % 信頼区間は0.78-0.96 であった.また冠動脈疾患死亡の 27 % 減少と相関しており相対リスクは 0.73, 95 % 信頼区間は 0.61-0.87 であった.穀物,果実,野菜の食物繊維摂取量と全心血管疾患イベント発生との関連においては,10 g/day 増加ごとにそれぞれ相対リスク 0.90, 95 % 信頼区間 0.77-1.07, 相対リスク 0.84, 95 % 信頼区間 0.70-0.99, 相対リスク 1.00, 95 % 信頼区間 0.88-1.13 であった.また死亡との関連では相対リスク 0.75, 95 % 信頼区間 0.63-0.91, 相対リスク 0.70, 95 % 信頼区間 0.55-0.89, 相対リスク 1.00, 95 % 信頼区間 0.82-1.23 であった.男女とも結果はよく似ていた.

結論:穀物,果実および野菜の食物繊維の消費は心血管疾患リスクと負の相関が見られる.

Arch Inern Med. 2004; 164: 370-376

 食物繊維は様々な機序を通じて,すなわち血清脂質組成の改善,降圧作用並びにインスリン感受性と線溶系活性とを改善することで心血管疾患リスクを減少させているのかもしれない.いくつかの観察研究において食物繊維が心血管疾患のリスク因子と負の相関を示すことが分かってきた.

 最低 10 件の前向きコホート試験で食物繊維と心血管疾患発生との関係を精査した.それらの試験のうち一つを除いて全て負の相関を報告していた.方法および解析技術の相違により繊維摂取総量および繊維の種類(由来が穀物か果実か野菜かおよび水溶性か否か)のこの相関の強度は不明のままであった.更に,4編のみの試験では男性を除外して女性における所見を報告していた.他の生活スタイル因子によるネガティブな刊行バイアスおよび残差交絡の可能性が残っている.ゆえに我々は米国およびヨーロッパにおける 10 件の前向きコホート試験から系統的解析を行った.それには Pooling Project of Cohort Studies on Diet and Coronary Disease を含んでいた.

方法

 このプール解析には下記の適合基準を適用した.すなわち,最低 150 例の冠動脈疾患発症例を有する前向き試験,日常の食事摂取の評価,および食事評価法の検証試験またはそれに近い関連する機器.文献検索およびその道の専門家への質問を通じて 14 の試験が適合基準に合致するとして同定され,11 試験の研究者がプロジェクトにおけるデータの提供に賛同した.1 編の試験は食物繊維摂取量のデータを有していないため除外された.利用できる 3 編の試験の研究者は,皆米国からの報告だったのだが,試験への参加に賛同しなかった.残った試験を Table 1 に示す.Nurses’ Health Study (NHS) の経験の解析のための観察期間は,食事摂取を繰り返し評価していることと長期間の観察期間という利点から2つの期間に分割した.1980-1986 年の観察期間は Nurses’ Health Study A (NHSa) と呼ばれ,1986 年まで心血管疾患を発症しなかった女性の 1986-1996 年の観察期間は Nurses’ Health Study B (NHSb) と呼ばれた.生存期間の underlying theory に基づき,異なる期間における人-期間のブロックは,同じ人に由来したとしても統計的に独立であった.ゆえに,これらの2つの期間からのプール推定値は一つの期間を用いたのと等価であり,1980 年と比較して 1986 年における強化された曝露評価における利点を有している.

食事評価

 いずれの試験においても食物摂取頻度アンケートまたは食事履歴計器によるベースラインの食事を計測していた.Adventist Health Study (AHS) においては原食物繊維だけを評価していた.そのため,このコホートにおいては食物繊維総量の近似のため原食物繊維に 3.5 を掛け算した.これは他の試験から得られた原食物繊維の食物繊維総量に対する比である.食物繊維総量に加え,我々は 3 つの食品群からの繊維摂取量を調査した.それには穀物(全粒穀物),果実および野菜が含まれ,不溶性食物繊維(ヘミセルロース,セルロースおよびリグニン)および水溶性食物繊維(ペクチン,ガム質および粘液質)も含まれる.穀物,果実および野菜由来の繊維は AHS および Glostrup Population Study (GPS) 以外のすべての試験で利用可能であった.広い種類の食品が各々の繊維の種類に寄与しており,ある種の食物は多くの試験において相対的に寄与していた.トウモロコシやエンドウなどのでんぷん質の野菜はすべての試験において野菜の繊維に実質的に寄与していた.Finish Mobile Clinic Health Examination Survey (FMC) および Vasterbotten Intervention Program (VIP) のみがバレイショの繊維を野菜の繊維に含めており,これら 2 編の試験においてはバレイショの繊維は野菜の繊維の一般的形態であった.6 編の試験のみが不溶性食物繊維および水溶性食物繊維の推定値を有していたが,食品成分表に基づいてこれらの繊維の種類を推定する標準的方法がなかったため,結果の解釈は注意深くあるべきである.

症例確認

標準化基準を用いて全ての試験における致死的または非致死的心筋梗塞症例の確認を行った.IWHS のみが心血管疾患発症において自己申告データであったため,この試験からは致死的心筋梗塞症例のみを抽出した.我々は全ての致死性および非致死性冠動脈イベントおよび冠動脈疾患死について個別分析を行った.

統計解析

 ベースライン人口のエネルギー摂取量の平均値を対数変換した研究特異的な 3SD より大又は小のエネルギー摂取量を報告した場合には約 1 % の参加者を各試験から除外した.臨床的な疾患の出現自体が食事変化をもたらす可能性があるため,我々はまたベースラインにおいて心血管疾患や糖尿病,癌(黒色腫でない皮膚がんを除く)の既往のある参加者も除外した.ARIC, FMC, GPS および IWHS の 4 試験では10 年より長い観察期間は試験期間中の異質性を減らすために切り捨てられた.それぞれのコホート内で繊維の増加ごとの相対リスク (RRs)(発症率の比)を比例ハザード回帰モデルを用いて計算した.SAS 統計ソフトバージョン 8 の PRC PHREG プログラムで計算した.相対リスクは関連するベースライン人口,生活スタイルおよび食事因子で調整した.共変量のカテゴリーは若干の例外はあるものの試験の間で標準化した.既往歴については試験の間の情報は次のいくつかまたは全てを含んでいる.すなわち,疾患の自己申告,内服薬の使用または生体計測(例,血圧と血清コレステロール値など).身体活動については試験の間の情報は,低い・中等度・高い余暇活動の単純なカテゴリーから総身体活動の連続値の代謝指数にまで渡り,代謝指数は 5 群に分類された. 1 編の試験では身体活動は利用できなかった.2 編の試験ではアルコール摂取が利用できなかった.三つの回帰モデルで次のように計算した.モデル 1 は年齢(歳),エネルギー摂取量(1日あたりのキロカロリー),喫煙状態(一度も喫煙したことがない,かつて喫煙していた,または現在喫煙しておりその本数が 1 日 1-4, 5-14, 15-24, 25 本以上),体格指数 (<23, 23-<25, 25-<27.5, 27.5-<30, 30-), 身体活動(レベル 1-5),学歴(高校未満,高校,大学以上),アルコール摂取量 (0, <5, 5-<10, 10-<15, 15-<30, 30-<50, 50- mL/d), 複合ビタミン剤服用(はい,いいえ),高コレステロール血症(はい,いいえ)そして高血圧(はい,いいえ).モデル 2 はモデル 1 の共変量を含み,さらにエネルギーで調整した飽和脂肪酸の五分位数,多価不飽和脂肪酸,そしてコレステロール.モデル 3 はモデル 2 の共変量を含み,さらにエネルギーで調整した葉酸およびビタミン E サプリメントの五分位数.

 両側 95 % 信頼区間を計算した.我々は DerSimonian および Laird により開発されたランダム効果モデルを採用し Log RRs を結合した.つまり試験特異的相対リスクをその分散の合計の逆数で重み付けしたものである.我々は試験間の分散要素 Q 統計値の推定値を用いて試験間の異質性をテストした.

 回帰分析を実行する前に,食物繊維およびすべての食事の共変量をエネルギー摂取量について各試験内で調整した.我々はエネルギーで調整した食物繊維を連続変数として解析した(10 g/d ごとの増分).我々はまた五分位数および十分位数もまた調べ,コホート特異的な分布に基づき,相関が線形で連続値の繊維の解析について一貫性のあるものかを定義した.食物繊維摂取量の境界値の絶対値を用いて,すべての試験について可能な範囲で全ての食物繊維摂取量にわたって我々はまた心血管疾患のリスクを調べた.五分位間での傾向の検定に P 値を計算するため,参加者は五分位数の食物繊維摂取量の中央値を割り付けられ,この値は Cox 回帰モデルの連続項として入力された.連続値としての食物繊維摂取量の結果は食事測定誤差によるバイアスを補正され,繊維単独においては,回帰補正法を用いた.この補正は特異的な食物源からの繊維摂取量には実行できなかった.というのは繊維のこれらの源を含む検証試験が殆どなされていなかったからである.他の共変量およびそのモデルにおける食事因子への測定誤差補正はなされなかった.

 我々は以下の共変量が繊維摂取量と心血管疾患リスクの関係を修飾するか否かを評価した.すなわち,性別,年齢(10歳ごとのカテゴリー),観察期間,体格指数 (<25, 25-30, >30), 喫煙(全く吸わない vs 以前喫煙歴ありまたは現在喫煙している),飽和脂肪酸摂取量(エネルギー摂取量中のパーセンテージ五分位数),そして高血圧ならびに高脂血症の既往(陽性又は陰性).関心のある各因子ごとに,各因子のレベルの点数および連続値として表現される繊維摂取量との直積項を各多変量モデルに含めた.試験特異的交互作用係数をプールし,プールした交互作用項の標準誤差の自乗で割ることで結果として得られる自由度 1 のカイ二乗分布を参照して, Wald 統計値の自乗を用いて効果修飾の検定のプールした P 値を得た.いかなる統計的有意な年齢または観察期間の効果修飾の欠如も比例ハザード仮定を支持する.

結果

 総計 91,058 名の男性および 245,186 名の女性,2,506,581 人年の観察期間の貢献が解析に含まれた.イベント総数は 5,249 件であり 2,011 名の致死症例があった (Table 1). 各コホートごとの繊維摂取量の中央値は Table 1 に示した.

 全ての主要な致死性・非致死性冠動脈イベントおよび冠動脈死の相対リスクを,エネルギー調整した繊維摂取総量の 10 g/d の増分ごとに Table 2 に示した.全ての人口学的および非食事性生活スタイル因子で調整した解析では,食物繊維摂取量が 10 g/d 増えるごとに,全冠動脈イベントの 12 % のリスク減少および冠動脈死の 19 % 減少を観察した.これらのプール推定値は,食事性の脂肪酸摂取量,モデル 2 における食事性コレステロール摂取量およびモデル 3 における葉酸とビタミン E の食事並びにサプリメントからの摂取量で調整しても,ごくわずかの減衰しか認めなかった.これらの相関は男性および女性において近似しており,冠動脈死の相対リスクおよび 95 % 信頼区間はそれぞれ 0.82 (0.72-0.94), 0.80 (0.66-0.96) であった.さらに α および β カロテン,n-3 系脂肪酸および α リノレン酸で調整しても結果に実質的な違いはなかった(データは示さない).食物繊維摂取量の五分位数の解析も同様の所見を示した.第 5 五分位数と比較して第 1 五分位数の相対リスクは全イベントで 0.90 であり傾向検定では P < 0.09 であった.冠動脈死の相対リスクは 0.70 で傾向検定では P < 0.001 であった.モデル 3 の結果は補正されたか繊維単独において測定誤差に由来するバイアスであった.10 g/d の増加ごとの相対リスクは全冠動脈イベントで 0.86 であり 95 % 信頼区間は 0.78-0.96 であった.冠動脈死では相対リスク 0.73 であり 95 % 信頼区間は 0.61-0.87 であった.

 繊維の種類による結果については Table 3 に要約してある.モデル 3 で行ったように全ての人口学的因子,生活スタイル因子,食事性因子について調整済みである.穀物の繊維 10 g/d の増加につき 10 % の冠動脈イベントのプールした相対リスク減少,果実の繊維 10 g/d の増加につき 16 % の冠動脈イベントの減少を認めたが,穀物繊維については 95 % 信頼区間が 1.00 を含んでいた.全イベントよりも冠動脈死の方がより強い相関を示した.すなわちそれぞれ 10 g/d 増加ごとに穀物繊維では 25 % のリスク減少,果実繊維では 30 % のリスク減少を示した.対照的に,野菜の繊維は冠動脈疾患発生や死亡について有意ではなかった.8 試験で穀物繊維と全冠動脈イベントとの解析において相対リスクの異質性 (P = 0.025) が観察された.この異質性は女性の 3 コホート (ARIC, NHSa, VIP) における正相関による性別の差異で説明されているように見えた.他のいかなる解析においても有意な異質性は観察されなかった.

 穀物および果実の繊維で観察された相関が独立か否かを定義するため,我々はこれらの繊維の種類を同じ回帰モデルに含めた.これらの解析の結果は全てのイベントにおいて近似しており,全イベントについて果実繊維の相対リスクは 0.81, 95 % 信頼区間は 0.69-0.95, 穀物繊維の相対リスクは 0.89, 95 % 信頼区間は 0.76-0.1.05, 死亡について果実繊維の相対リスクは 0.65, 95 % 信頼区間は 0.49-0.86, 穀物繊維の相対リスクは 0.71, 95 % 信頼区間は 0.59-0.87 であった.これは穀物と果実の繊維がそれぞれ独立であることを示唆していた.我々はまた水溶性食物繊維および不溶性食物繊維と心血管疾患リスクとの関連についても調査した.両者の摂取は全ての冠動脈イベントおよび冠動脈死と逆相関していた.相対リスクに異質性は全く観察されなかった.水溶性食物繊維において相関はより強かった.全イベントについて 10 g/d 増加で相対リスクは 0.72, 95 % 信頼区間は0.55-0.93, 死亡について相対リスクは 0.46, 95 % 信頼区間は 0.28-0.74 であった.一方,不溶性食物繊維においては全イベントについて相対リスク 0.90, 95 % 信頼区間は 0.83-0.97, 死亡について相対リスクは 0.80, 95 % 信頼区間は 0.69-0.92 であった.広い信頼区間にもかかわらず,水溶性および不溶性食物繊維が同じモデルに含まれる時,結果は近似していた.

 年齢,観察期間(最初の 2 年間の除外を含むか,最初と次の 5 年間で層別化してある),体重超過の状態,喫煙および飽和脂肪酸摂取量で層別化した時,データは示さないが,食物繊維総量で測定誤差補正したその結果は一般に一貫性があった.食物繊維と他のこれらの共変量との間には有意な相互作用はなかった.

 最後に,エネルギー調整した食物繊維の境界値の絶対値による結果を Figure に示す.参照カテゴリーは 18 から 21 g/d であり Table 3 と同じ調整をしてある.

考察

 本試験の結果は以下のことを示唆している.食物繊維は男女いずれにおいても心血管疾患リスクと逆相関している.その相関は冠動脈死についてより強く,食物繊維総量 10 g/d 増加につき 27 % のリスク減少を認め,全イベントについては 14 % のリスク減少を認める.穀物繊維と果実繊維が心血管疾患リスクと強い負の相関を認めるにもかかわらず,野菜繊維にはそのような相関は全く観察されなかった.これらの相関は他の食事因子,性別,年齢,ベースライン体格指数,喫煙,高血圧の既往,糖尿病および高コレステロール血症とは独立であると考えられた.

 各研究間の相対リスクは概ね一貫していた.唯一穀物繊維と全冠動脈イベントの解析で相対リスクの異質性が観察されたのみであり,AHS, NHSa および VIP の女性の 3 コホートにおいて相対リスクが 1.00 を超えていた.NHSa においては,古いバージョンの食物摂取頻度アンケートが用いられており,繊維総量特に穀物繊維の定量にあたって限られた情報しか利用できなかった.NHSa における精製された穀物の穀物繊維への相対的寄与は誇張されているように見えたが,一方で全粒穀物においては逆のことが起きているように見えた.精製された穀物ではなく,全粒穀物は心血管疾患リスクを減少させることが示されたため,穀物繊維摂取量におけるそのような測定誤差が予期せぬ NHSa の所見を説明できるだろう.実際,以前刊行された NHS の知見は食物摂取頻度アンケートの繰り返し(1984 年,1986 年および 1990 年)における食物繊維摂取量の平均値の解析を含んでおり,その結果は強い負の相関を明らかにしており,5 g/d の穀物繊維増加ごとの相対リスクは 0.63 である.AHS および VIP の女性の所見はそれらの試験の男性のそれとは一致しなかった.さらに,これらの点推定値の信頼区間が広いため,我々はそこから有意義な推論を引き出すことができなかった.

 プールされたプロジェクトに含まれる繊維と心血管疾患との 4 編の研究の知見は既に刊行されている.NHS および HPFS においては,穀物繊維に最も強い負の相関が観察され,果実および野菜繊維でより弱い相関となった.ATBC においては,全ての種類の繊維について負の相関が概ね観察された.WHS においては Liu らにより果実繊維摂取量と全心血管疾患リスクとの間に最も強い相関が観察されたが,一方で心筋梗塞発症との相関は全く観察されなかった.食物繊維と心血管疾患との 6 編の刊行された試験はプールされたプロジェクトには含まれていなかった.というのは,最低 150 件の発症または食事評価の検証という要求に合致しなかったか,あるいは我々がその存在に気付かなかったからである.食物繊維摂取量と心血管疾患との間の統計的有意な負の相関を示した 3 編の報告のうち,2 編は統計的有意でない負の相関を報告し,1 編の試験は全く有意でない正相関を報告している.Mann らは食物繊維消費総量の増加に伴い有意でない心血管疾患リスクの増加を観察しているが,この結果は死亡が 38 例とイベント発生数が少ないため疑わしいとされている.

 野菜繊維摂取量と心血管疾患リスクとの間の負の相関を支持する結果は少ない.この結果に対する可能性のある説明の一つとして,栄養素に乏しく高血糖を負荷する一般的なでんぷん,および大きく加工された野菜,つまりトウモロコシやエンドウマメなどの性質が挙げられる.VIP および FMC の 2 編の研究はまたバレイショも野菜繊維の解析に含めていた.食事性の血糖負荷が実質的に心血管疾患と 2 型糖尿病とのリスク増加につながることが明らかになってきている.ゆえに,いかなる野菜繊維の有用な効果もでんぷん性野菜の副作用に対抗することができる.研究と公衆衛生勧告の両者において,食品の種類が研究され,推奨され,さらに(疾患リスクを)減衰させるべきである.本試験の一つの限界は,食物繊維におけるこれらの解析を補う食品データが欠損していることである.心血管疾患との関連における食品と食事パターンのプール解析は本調査の範囲を超えるものであるが,それらは将来の調査では必ず含めるべきである.

 さらなる関心事として,水溶性繊維および不溶性繊維の両者が心血管疾患からの保護をもたらすのかどうかということがある.以前の研究ではこの可能性を支持しており,繊維のいずれのクラスにも一貫した利点はなかった.本試験では両者の繊維に負の相関が観察されたが,相対リスクは水溶性繊維においてより強く,10 g/d 増加ごとの冠動脈死の相対リスクは 0.46 に至っていた.これらの結果は慎重に解釈しなければならない.というのは,たかだか 6 編の研究しか不溶性繊維および水溶性繊維について推定していないからであり,これらの推定値に由来するのに使用された標準化手法は存在しないからである.しかしながら,水溶性繊維の特徴としてこれらの所見を説明できるかもしれない.つまり小腸管腔内の粘性を増加させる傾向にあり,ゆえに栄養素および潜在的に結合する胆汁酸の吸収を緩徐にしていると.このようにインスリン分泌を減少させ,血糖コントロール,血清コレステロール値および血圧を改善させる効果が明らかにされている.にもかかわらず,水溶性繊維および不溶性繊維の両者と心血管疾患リスクが逆相関するという今回の解析における所見はあらゆる種類の食物繊維に富む食品消費量の増量を推奨することを支持している.

 プールプロジェクトの利点は,過去に陰性の刊行バイアスを疑われて刊行されなかった結果を含めていることである.そこで,プールされた結果は個々に出版された研究に比べてより真の相関に近いかもしれない.他の利点としてすべての研究に渡る解析戦略の系統的実行,モデリングの露出および一様に重要な共変量が含まれる.そのような努力は相対リスク推定値間の異質性の尤度を減少させ,ゆえにプール推定値の一般化可能性を強化することになる.ゆえに,プールプロジェクトは利用可能な観察データを最もよく使用して食事と慢性疾患についての仮定を記述するものである.食物繊維の測定誤差を補正するための検証研究からのデータを使用できることが本解析の強みであるが,我々は全ての共変量および他の食事因子の測定誤差を調整できなかったため,測定誤差補正は注意深く解釈しなければならない.他の限界として食事評価および食品成分表という手法の異質性が挙げられる.特に水溶性繊維および不溶性繊維の解析にとって,受け入れられた測定法は存在せず,6 編の研究がこれらの繊維の種類を定量したのみである.しかしながら,我々は研究の間における相対リスクで唯一統計的有意な異質性を発見し,我々の手法の限界がその知見の検証を弱体化させるものではなかったことを示唆していた.

 結論として,我々の結果は成人における食物繊維摂取量が心血管疾患リスクと負の相関を示すことを支持している.冠動脈リスクは食物繊維総量,穀物繊維,または果実繊維摂取が 10 g/d 増えるごとに 10 % から 30 % 減少していた.その結果は以前刊行されたコホート試験の結果を強く確認させることをもたらし,非常に多くの基礎研究が,広範囲の可能性のある生物学的機序を通じて,食物繊維が心血管疾患リスクを減少させる可能性があることを証明していることを支持している.ゆえに,心血管疾患を予防するために食物繊維を豊富に含む食品の摂取を推奨することは一貫した科学的根拠のある富に基づいているのである.

参照:
日本人の食事摂取基準(2015 年版)炭水化物 (pdf)
日本人の食事摂取基準(2010 年版)炭水化物 (pdf)

 長文お読みいただきありがとうございました.さて,ここからは宣伝です.皆様の主食は米でしょうか,小麦粉でしょうか.私は米です.以前は精白米を購入しておりましたが,時間が経つとやはり味が落ちます.そこで下の精米機を 5 年前に導入しました.玄米を購入し,その都度精米して炊くわけです.精製してすぐのお米はやはり美味しいです.

 この精米機はとにかく丈夫です.5 年使ってますが壊れる気配がありません.精米の程度も細かく指定できます.音はやかましいですがこれは仕方ありません.お勧めです.

How to create scalar function of SQL Server in order to define nPNA?

The Japanese Society for Dialysis Therapy (JSDT) recommends PCR as an indicator of protein intake. Otherwise K/DOQQI recommends nPNA. If you calculate Kt/V with Daugirdas’ method, you can also define nPNA.

\displaystyle \mathrm{nPNA} = \frac{C_0}{36.3 + 5.48\times\mathrm{Kt/V} + 53.5/\mathrm{Kt/V}} + 0.168 \\  = \frac{\mathrm{preBUN}}{36.3 + 5.48\times\mathrm{Kt/V} + 53.5 / \mathrm{Kt/V}} + 0.168 \cdots(4)

Execute the following procedure.

Reference: Simplified nutritional screening tools for patients on maintenance hemodialysis

SQL Serverのスカラー値関数としてnPNAを定義するには

 たんぱく質摂取量の指標として日本透析医学会では PCR を採用しています.一方 K/DOQQI では nPNA を採用しています.Daugirdas の方法で Kt/V を計算すると nPNA も計算できます.

\displaystyle \mathrm{nPNA} = \frac{C_0}{36.3 + 5.48\times\mathrm{Kt/V} + 53.5/\mathrm{Kt/V}} + 0.168 \\  = \frac{\mathrm{preBUN}}{36.3 + 5.48\times\mathrm{Kt/V} + 53.5 / \mathrm{Kt/V}} + 0.168 \cdots(4)

 下記プロシージャを実行して関数を作成します.

参照:維持透析患者のための簡易栄養スクリーニングツール

How to define Kt/V, an indicator of the efficiency of dialysis, as scalar function of SQL Server?

In Japan, Shinzato’s fomula for calculating Kt/V, an indicator of efficiency of dialysis, is recommended by JSDT. Since integral equation is used to solve Shinzato’s method, you couldn’t solve algebraically. In K/DOQQI, it is usual to solve Kt/V with Daugirdas’ method. Shinzato has described that Daugirdas’ Kt/V is similar to Shinzato’s Kt/V.

\displaystyle \mathrm{Kt/V} = - LN( R - 0.08 \times t ) + \left[ 4 - \left( 3.5 \times R \right) \right] \times\frac{\mathrm{UF}}{\mathrm{W}}\\  = - LN \left( \frac{\mathrm{postBUN}}{\mathrm{preBUN}} - 0.008 \times t \right) + \left[ 4 - \left( 3.5 \times \frac{\mathrm{postBUN}}{\mathrm{preBUN}} \right) \right] \times \frac{\mathrm{preWeight} - \mathrm{postWeight}}{\mathrm{postWeight}} \cdots(1)
\displaystyle \mathrm{Gw} = \mathrm{G}\cdot\mathrm{Tw} = \mathrm{Kd}\int_{0}^{Td}C_1dt + \mathrm{Kd}\int_{0}^{Td}C_2dt + \mathrm{Kd}\int_{0}^{Td}C_3dt \cdots(2)
\displaystyle \mathrm{Ce} = \mathrm{Cs} Exp\left( - \frac{\mathrm{Kt}}{\mathrm{V}} \right) + \frac{\mathrm{G}}{\mathrm{K}}\left[ 1 - Exp\left( - \frac{\mathrm{Kt}}{\mathrm{V}} \right) \right] \cdots(3)

Execute the procedure as following;

References: JSDT 29 (12): 1511-1516, 1996

Second Generation Logarithmic Estimates of Single-Pool Variable Volume

SQL Serverのスカラー値関数としてKt/Vを定義するには

 透析患者の透析効率を計算するには日本透析医学会の推奨する新里式があります.原著論文を見ると積分方程式を解く必要があり,一般的な数学の知識では歯が立ちません.ここでは Daugirdas による Kt/V をデータベース内で計算する方法を述べます.新里自身も Daugirdas による Kt/V と新里式による Kt/V とはかなり一致していると述べており,ほぼ代用可能ではないかと思われます.(1) が Daugirdas の方法で (2) と (3) を解くと新里式になります.

\displaystyle \mathrm{Kt/V} = - LN( R - 0.008 \times t ) + \left[ 4 - \left( 3.5 \times R \right) \right] \times\frac{\mathrm{UF}}{\mathrm{W}}\\  = - LN \left( \frac{\mathrm{postBUN}}{\mathrm{preBUN}} - 0.008 \times t \right) + \left[ 4 - \left( 3.5 \times \frac{\mathrm{postBUN}}{\mathrm{preBUN}} \right) \right] \times \frac{\mathrm{preWeight} - \mathrm{postWeight}}{\mathrm{postWeight}} \cdots(1)
\displaystyle \mathrm{Gw} = \mathrm{G}\cdot\mathrm{Tw} = \mathrm{Kd}\int_{0}^{Td}C_1dt + \mathrm{Kd}\int_{0}^{Td}C_2dt + \mathrm{Kd}\int_{0}^{Td}C_3dt \cdots(2)
\displaystyle \mathrm{Ce} = \mathrm{Cs} Exp\left( - \frac{\mathrm{Kt}}{\mathrm{V}} \right) + \frac{\mathrm{G}}{\mathrm{K}}\left[ 1 - Exp\left( - \frac{\mathrm{Kt}}{\mathrm{V}} \right) \right] \cdots(3)

 下記プロシージャを実行して関数を作成します.

参照:透析会誌 29 (12): 1511-1516, 1996

Second Generation Logarithmic Estimates of Single-Pool Variable Volume

How to create scalar function of SQL Server in order to calculate GNRI?

Malnutrition in elder people increases the risk of death. Geriatric Nutrition Risk Index (GNRI) is the tool to detect malnutrition easily in hemodialysis patients, too. The definition is as following;

\displaystyle \mathrm{GNRI} = 14.89\times\mathrm{Albumin (g/dL)} + 41.7\times\frac{\mathrm{Body Weight}}{\mathrm{Ideal Body Weight}}

where ideal body weight is given by multiplying 22 the square of height. But body weight should be replaced with ideal body weight if body weight is greater than ideal body weight. Then the second term is equal to 1.

Table is defined as following procedure. It is based on the survey list of the Japanese Society for Dialysis Therapy in 2013.

We need height, body weight and albumin in the table. Execute following procedure to create function.

Execute following query to calculate GNRI.

Reference: Simplified nutritional screening tools for patients on maintenance hemodialysis

SQL Serverのスカラー値関数としてGNRIを定義するには

 高齢者における低栄養は死亡のリスクを高めることが知られています.Geriatric Nutrition Risk Index (GNRI) は低栄養を簡易に検出できるツールです.単に高齢者だけではなく,維持透析患者においても有用です.その定義は以下です.

\displaystyle \mathrm{GNRI} = 14.89\times\mathrm{Albumin (g/dL)} + 41.7\times\frac{\mathrm{Body Weight}}{\mathrm{Ideal Body Weight}}

ここで理想体重 (kg) は身長 (m) の二乗に 22 を乗じて得られます.ただし実体重が理想体重を上回る場合には,実体重を理想体重に置き換えます.つまり第 2 項の分数は 1 に等しくなります.

 データベースのテーブル定義は以下の通りであるとします.日本透析医学会統計調査票の 2013 年版に基いています.

 上記テーブルの中で必要な項目は身長,体重,アルブミン値です.下記プロシージャを実行して関数を作成します.実体重が理想体重を上回る場合には実体重を理想体重に置き換えるという条件は CASE 式の中で評価します.

 下記のクエリを実行して GNRI を求めます.CASE 式の中身は透析後体重が空欄の場合は透析前体重で代用するという意味です.

参照:維持透析患者のための簡易栄養スクリーニングツール

Anabolic exercise in haemodialysis patients: a randomised controlled pilot study

Nutrition rehabilitation in hemodialysis patients is one of the hottest topics. They have reported that resistance exercise has resulted to muscle strength, but the lack of functional capacity. Although this trial has high evidence with RCT, the number of participants may be too small to determine statistically significant.

Anabolic exercise in haemodialysis patients: a randomised controlled pilot study

Danielle L. Kirkman, Paul Mullins, Naushad A. Junglee, Mick Kumwenda, Mahdi M. Jibani, Jamie H. Macdonald

Abstract

Background

The anabolic response to progressive resistance exercise training (PRET) in haemodialysis patients is unclear. This pilot efficacy study aimed to determine whether high-intensity intradialytic PRET could reverse atrophy and consequently improve strength and physical function in haemodialysis patients. A second aim was to compare any anabolic response to that of healthy participants completing the same program.

Methods

In a single blind controlled study, 23 haemodialysis patients and 9 healthy individuals were randomly allocated to PRET or an attention control (SHAM) group. PRET completed high-intensity exercise leg extensions using novel equipment. SHAM completed low-intensity lower body stretching activities using ultra light resistance bands. Exercises were completed thrice weekly for 12 weeks, during dialysis in the haemodialysis patients. Outcomes included knee extensor muscle volume by magnetic resonance imaging, knee extensor strength by isometric dynamometer and lower body tests of physical function. Data were analysed by a per protocol method using between-group comparisons.

Results

PRET elicited a statistically and clinically significant anabolic response in haemodialysis patients (PRET—SHAM, mean difference [95 % CI]: 193[63 to 324] cm3) that was very similar to the response in healthy participants (PRET—SHAM, 169[−41 to 379] cm3). PRET increased strength in both haemodialysis patients and healthy participants. In contrast, PRET only enhanced lower body functional capacity in the healthy participants.

Conclusions

Intradialytic PRET elicited a normal anabolic and strength response in haemodialysis patients. The lack of a change in functional capacity was surprising and warrants further investigation.

Keywords: Weight lifting, Wasting syndrome, Chronic kidney failure, Haemodialysis

Anabolic exercise in haemodialysis patients: a randomised
controlled pilot study

Anabolic exercise in haemodialysis patients: a randomised controlled pilot study

 血液透析患者における栄養リハビリテーションは最近のトピックの一つです.レジスタンス運動は筋力増強をもたらしたものの,身体機能の改善には至らなかったという報告です.無作為化比較試験であり信頼性は高いのですが,参加者人数が少なく有意差が出なかったのではないかとも考えられます.



透析患者における蛋白同化運動:無作為化比較試験

Danielle L. Kirkman, Paul Mullins, Naushad A. Junglee, Mick Kumwenda, Mahdi M. Jibani, Jamie H. Macdonald

要旨

背景

 透析患者における漸増レジスタンス運動 (PRET) への反応は不明確である.このパイロット有効性研究は,透析患者において透析の間での強度の PRET が萎縮を逆転できるか,また結果的に筋力と身体機能を改善することができるか否かを定義することを目的とする.2番目の目的は蛋白同化反応と,同様のプログラムを完遂した健康な参加者の反応とを比較することである.

方法

 単盲検対照試験において 23 名の透析患者と 9 名の健康な個人が無作為に PRET 群と比較対照群 (SHAM) に割り付けられた.PRET 群は強度の運動,つまり新規の設備を使って下肢を進展する運動を完遂した.SHAM 群は軽度の下半身を進展する活動を超軽量の抵抗バンドを用いて完遂した.透析患者の運動は週に 3 回の透析中に,12 週間にわたって行われた.転帰には MRI による膝伸筋容積,アイソメトリックダイナモメーターによる膝伸展力および身体機能の下半身テストが含まれた.データは群間比較を用いたプロトコルメソッドにより解析した.

結果

 PRET は透析患者において統計的および臨床的に有意に蛋白同化反応を惹起し (PRET—SHAM, mean difference [95 % CI]: 193[63 to 324] cm3), 健常な参加者においても同様であった (PRET—SHAM, 169[−41 to 379] cm3). PRET は透析患者においても健常者においても筋力を増強させた.対照的に, PRET は健常者においてのみ下半身の身体機能を増強させただけであった.

結論

 透析患者において透析中の PRET は正常な蛋白同化と筋力増強を惹起した.身体機能に変化がなかったことは驚くべきものであり,さらなる調査が必要と考えられた.

Keywords: Weight lifting, Wasting syndrome, Chronic kidney failure, Haemodialysis

Anabolic exercise in haemodialysis patients: a randomised
controlled pilot study

Systemic IgG4-related lymphadenopathy: a clinical and pathologic comparison to multicentric Castleman’s disease

Differential diagnosis between Castleman’s disease and systemic IgG4-related lymphadenopathy is described in this article. In their patients, systemic IgG4-related lymphadenopathy showed pathologic features only partially overlapping those of multicentric Castleman’s disease. Serum data, especially CRP and IL-6 are useful for differentiating the two.

Systemic IgG4-related lymphadenopathy: a clinical and pathologic comparison to multicentric Castleman’s disease

Yasuharu Sato, Masaru Kojima, Katsuyoshi Takata, Toshiaki Morito, Hideki Asaoku, Tamotsu Takeuchi, Kohichi Mizobuchi, Megumu Fujihara, Kazuya Kuraoka, Tokiko Nakai, Kouichi Ichimura, Takehiro Tanaka, Maiko Tamura, Yuriko Nishikawa and Tadashi Yoshino

Modern Pathology (2009) 22, 589–599

IgG4-related disease sometimes involves regional and/or systemic lymph nodes, and often clinically and/or histologically mimics multicentric Castleman’s disease or malignant lymphoma. In this study, we examined clinical and pathologic findings of nine patients with systemic IgG4-related lymphadenopathy. None of these cases were associated with human herpes virus-8 or human immunodeficiency virus infection, and there was no T-cell receptor or immunoglobulin gene rearrangement. Histologically, systemic IgG4-related lymphadenopathy was classified into two types by the infiltration pattern of IgG4-positive cells: interfollicular plasmacytosis type and intra-germinal center plasmacytosis type. The interfollicular plasmacytosis type showed either Castleman’s disease-like features or atypical lymphoplasmacytic and immunoblastic proliferation-like features. By contrast, the intra-germinal center plasmacytosis type showed marked follicular hyperplasia, and infiltration of IgG4-positive cells mainly into the germinal centers, and some cases exhibited features of progressively transformed germinal centers. Interestingly, eight of our nine (89%) cases showed eosinophil infiltration in the affected lymph nodes, and examined patients showed high elevation of serum IgE. Laboratory examinations revealed elevation of serum IgG4 and soluble interleukin-2 receptors. However, the levels of interleukin-6, C-reactive protein, and lactate dehydrogenase were within normal limits or only slightly elevated in almost all patients. One patient showed a high interleukin-6 level whereas C-reactive protein was within the normal limit. Autoantibodies were examined in five patients and detected in four. Compared with the previously reported cases of multicentric Castleman’s disease, our patients with systemic IgG4-related lymphadenopathy were significantly older and had significantly lower C-reactive protein and interleukin-6 levels. In conclusion, in our systemic IgG4-related lymphadenopathy showed pathologic features only partially overlapping those of multicentric Castleman’s disease, and serum data (especially C-reactive protein and interleukin-6) are useful for differentiating the two. Our findings of eosinophil infiltration in the affected tissue and elevation of serum IgE may suggest an allergic mechanism in the pathogenesis of systemic IgG4-related lymphadenopathy.

Keywords: systemic IgG4-related lymphadenopathy; C-reactive protein; interleukin-6; immunoglobulin E; multicentric castleman’s disease

Systemic IgG4-related lymphadenopathy: a clinical and pathologic comparison to multicentric Castleman’s disease

 キャッスルマン病と systemic IgG4-related lymphadenopathy との鑑別点について述べられています.Systemic IgG4-related lymphadenopathy の一部とキャッスルマン病とでは病理像に共通点も見られますが,CRP と IL-6 により鑑別できるとしています.

Systemic IgG4-related lymphadenopathy: a clinical and pathologic comparison to multicentric Castleman’s disease

Yasuharu Sato, Masaru Kojima, Katsuyoshi Takata, Toshiaki Morito, Hideki Asaoku, Tamotsu Takeuchi, Kohichi Mizobuchi, Megumu Fujihara, Kazuya Kuraoka, Tokiko Nakai, Kouichi Ichimura, Takehiro Tanaka, Maiko Tamura, Yuriko Nishikawa and Tadashi Yoshino

Modern Pathology (2009) 22, 589–599

IgG4 関連疾患は時に局所または全身リンパ節に浸潤し,時にキャッスルマン病や悪性リンパ腫と臨床的・組織学的に類似する.本研究では我々は systemic IgG4-related lymphadenopathy の臨床的・病理学的所見を調査した.ヒトヘルペスウイルス 8 や HIV 感染と関連した症例や,T cell receptor や免疫グロブリンの遺伝子再構成と関連した症例はなかった.組織学的には systemic IgG4-related lymphadenopathy は IgG4 陽性細胞の浸潤パターンにより 2 型に分類される.すなわち,濾胞間形質細胞型と胚中心形質細胞型に.濾胞間形質細胞型はキャッスルマン病様か異型リンパ形質細胞の像を呈し,免疫芽細胞増殖様の特徴を呈する.対照的に,胚中心形質細胞型は著明な濾胞の過形成を呈し,IgG4 陽性細胞は主に胚中心に浸潤し,ある例では進行した胚中心の形質転換像を呈していた.興味深いことに 9 例のうち 8 例で好酸球浸潤を幹部のリンパ節に認め,血清 IgE の著明な上昇を認めた.検査所見では血清 IgG4 と sIL-2R の上昇が認められた.しかしながら全症例において IL-6, CRP, LDH のレベルは正常範囲または軽度の上昇に留まった.1 名の患者は IL-6 の高値を認めたが CRP は正常範囲に留まった.自己抗体を 5 名の患者で検査し 4 名の患者で検出した.これまで報告された多中心性キャッスルマン病の症例と比較して,我々の systemic IgG4-related lymphadenopathy の患者は著明に高齢で CRP と IL-6 値が著明に低値であった.結論として我々の systemic IgG4-related lymphadenopathy は,多中心性キャッスルマン病との間に部分的に共通する病理学的特徴を有し,血清データ(特に CRP と IL-6)は両者を鑑別するのに有用であった.我々の所見は患部組織への好酸球浸潤と血清 IgE 上昇であるが,systemic IgG4-related lymphadenopathy の病原性においてアレルギー的な機序を示唆するのかもしれない.

Keywords: systemic IgG4-related lymphadenopathy; C-reactive protein; interleukin-6; immunoglobulin E; multicentric castleman’s disease

Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet

Outcome of PREDIMED Study has been published in the New England Journal of Medicine that examined primary prevention of cardiovascular disease with Mediterranean diet. The result has been shown that Mediterranean diet with extra-virgin olive oil or mixed nuts has better prognosis than reduction of lipid. It is considered that alpha linolenic acid rich Mediterranean diet, a component of walnuts, influences oxidative stress, inflammation or endothelial dysfunction.

Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet

Ramón Estruch, M.D., Ph.D., Emilio Ros, M.D., Ph.D., Jordi Salas-Salvadó, M.D., Ph.D., Maria-Isabel Covas, D.Pharm., Ph.D., Dolores Corella, D.Pharm., Ph.D., Fernando Arós, M.D., Ph.D., Enrique Gómez-Gracia, M.D., Ph.D., Valentina Ruiz-Gutiérrez, Ph.D., Miquel Fiol, M.D., Ph.D., José Lapetra, M.D., Ph.D., Rosa Maria Lamuela-Raventos, D.Pharm., Ph.D., Lluís Serra-Majem, M.D., Ph.D., Xavier Pintó, M.D., Ph.D., Josep Basora, M.D., Ph.D., Miguel Angel Muñoz, M.D., Ph.D., José V. Sorlí, M.D., Ph.D., José Alfredo Martínez, D.Pharm, M.D., Ph.D., and Miguel Angel Martínez-González, M.D., Ph.D., for the PREDIMED Study Investigators

N Engl J Med 2013;368:1279-90

Background

Observational cohort studies and a secondary prevention trial have shown an inverse association between adherence to the Mediterranean diet and cardiovascular risk. We conducted a randomized trial of this diet pattern for the primary prevention of cardiovascular events.

Methods

In a multicenter trial in Spain, we randomly assigned participants who were at high cardiovascular risk, but with no cardiovascular disease at enrollment, to one of three diets: a Mediterranean diet supplemented with extra-virgin olive oil, a Mediterranean diet supplemented with mixed nuts, or a control diet (advice to reduce dietary fat). Participants received quarterly individual and group educational sessions and, depending on group assignment, free provision of extra-virgin olive oil, mixed nuts, or small nonfood gifts. The primary end point was the rate of major cardiovascular events (myocardial infarction, stroke, or death from cardiovascular causes). On the basis of the results of an interim analysis, the trial was stopped after a median follow-up of 4.8 years.

Results

A total of 7447 persons were enrolled (age range, 55 to 80 years); 57% were women. The two Mediterranean-diet groups had good adherence to the intervention, according to self-reported intake and biomarker analyses. A primary end-point event occurred in 288 participants. The multivariable-adjusted hazard ratios were 0.70 (95% confidence interval [CI], 0.54 to 0.92) and 0.72 (95% CI, 0.54 to 0.96) for the group assigned to a Mediterranean diet with extra-virgin olive oil (96 events) and the group assigned to a Mediterranean diet with nuts (83 events), respectively, versus the control group (109 events). No diet-related adverse effects were reported.

Conclusions

Among persons at high cardiovascular risk, a Mediterranean diet supplemented with extra-virgin olive oil or nuts reduced the incidence of major cardiovascular events.

References:
Effects of a Mediterranean-Style Diet on Cardiovascular Risk Factors
Effect of a Mediterranean-Style Diet on Endothelial Dysfunction and Markers of Vascular Inflammation in the Metabolic Syndrome
Mediterranean-style diet and risk of ischemic stroke, myocardial infarction, and vascular death: the Northern Manhattan Study

地中海食による心血管疾患の一次予防

 地中海食による心血管疾患の予防効果を検討した PREDIMED Study の成果が New England Journal に掲載されました.単に脂質を制限するよりもオリーブオイルやナッツを摂取したほうが心血管疾患の一次予防に有効であったとする結果です.地中海食には胡桃の成分であるαリノレン酸が豊富に含まれており,酸化ストレスや炎症,内皮機能障害などに影響するからではないかと考察しています.



地中海食による心血管疾患の一次予防

Ramón Estruch, M.D., Ph.D., Emilio Ros, M.D., Ph.D., Jordi Salas-Salvadó, M.D., Ph.D., Maria-Isabel Covas, D.Pharm., Ph.D., Dolores Corella, D.Pharm., Ph.D., Fernando Arós, M.D., Ph.D., Enrique Gómez-Gracia, M.D., Ph.D., Valentina Ruiz-Gutiérrez, Ph.D., Miquel Fiol, M.D., Ph.D., José Lapetra, M.D., Ph.D., Rosa Maria Lamuela-Raventos, D.Pharm., Ph.D., Lluís Serra-Majem, M.D., Ph.D., Xavier Pintó, M.D., Ph.D., Josep Basora, M.D., Ph.D., Miguel Angel Muñoz, M.D., Ph.D., José V. Sorlí, M.D., Ph.D., José Alfredo Martínez, D.Pharm, M.D., Ph.D., and Miguel Angel Martínez-González, M.D., Ph.D., for the PREDIMED Study Investigators

N Engl J Med 2013; 368:1279-1290

要旨

背景

 観察コホート研究と二次予防試験は,地中海食の順守と心血管リスクとの間の逆相関を示した.我々は心血管疾患の一次予防のためこの食事様式の無作為化試験を実施した.

方法

 スペインにおける多施設で我々は心血管疾患リスクが高いが心血管疾患に罹患していない参加者を3つの食事群の一つに無作為割り付けした.エクストラバージンオリーブオイルを提供される地中海食群,ミックスナッツを低供される地中海食群,対照群で食事脂質を減量するよう指導された群である.参加者は四半期ごとに個別またはグループで教育セッションを受け,割り付けに従って無料でエクストラバージンオリーブオイルか,ミックスナッツか,少量の食品でない贈呈品を受け取った.一次エンドポイントは主要な心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中または心血管由来の死亡)の率とした.暫定的な解析に基づいて,試験は経過観察期間の中央値が4.8年となった後に中止した.

結果

 全体で 7447 名(55 歳から 80 歳まで)の参加者が登録され,うち 57 % が女性であった.自己申告による摂食調査と生化学検査によると,地中海食の2群では介入に対して良好な順守が得られた.288 名において一次エンドポイント事象が発生した.エクストラバージンオリーブオイルを提供された地中海食群(96件)およびミックスナッツを提供された地中海食群(83件)の対照群(109件)に対する多変量調整したハザード比はそれぞれ 0.70 (95%CI 0.54 – 0.92) および 0.72 (95%CI 0.54 – 0.96) であった.食事に関連する副作用は全く認めなかった.

結論

 心血管リスクの高い人にとって,エクストラバージンオリーブオイルまたはミックスナッツを提供された地中海食は心血管イベントの発生を減少させた.

参照:
心血管危険因子における地中海料理の効果
メタボリック症候群における内皮機能障害と血管炎症マーカーに対する地中海式料理の影響
地中海式料理と虚血性脳卒中,心筋梗塞,血管死との関連:the Northern Manhattan Study

Geriatric Nutritional Risk Index, a simplified nutritional screening index, is a significant predictor of mortality in chronic dialysis patients

Zadeh has reported that malnutrition-Inflammation Score (MIS) is predictor of mortality in hemodialysis patients. Although Yamada has reported that the significant correlation between Geriatric Nutritional Risk Index (GNRI) and MIS, they did not report the correlation between GNRI and mortality in chronic hemodialysis patients. This article has reported that GNRI is significant predictor of mortality in chronic dialysis patients.

Geriatric Nutritional Risk Index, a simplified nutritional screening index, is a significant predictor of mortality in chronic dialysis patients

Ikue Kobayashi, Eiji Ishimura, Yoko Kato, Senji Okuno, Tadashi Yamamoto, Tomoyuki Yamakawa, Katsuhito Mori, Masaaki Inaba and Yoshiki Nishizawa

Nephrol Dial Transplant (2010) 25: 3361-3365

Abstract

Background

Malnutrition is a common complication in haemodialysis patients. Recently, the Geriatric Nutritional Risk Index (GNRI) has been reported as a simple and accurate tool to assess nutritional status of haemodialysis patients. Our objective was to examine the association between GNRI and mortality in chronic haemodialysis patients.

Methods

We examined the GNRI of 490 maintenance haemodialysis patients (60 ± 12 years, 293 males and 197 females) and followed up these patients for 60 months. Predictors for all-cause death were examined using Kaplan–Meier analysis and Cox proportional analyses.

Results

The GNRI was 98.0 ± 6.0, and was significantly and negatively correlated with age and haemodialysis duration. During the 60-month follow-up period, 129 patients died. According to the highest positive likelihood and risk ratios, the cutoff value of GNRI for mortality was set at 90. Kaplan–Meier analysis revealed that patients with a GNRI <90 (n = 50) had a significantly lower survival rate, compared to those with GNRI ≥90 (n = 440) (log-rank test, P < 0.0001). Multivariate Cox proportional hazards analyses demonstrated that GNRI was a significant predictor for mortality [hazard ratio (HR) 0.962, 95% confidence interval (CI) 0.931–0.995, P < 0.05], after adjustment for age, gender, C-reactive protein, presence of diabetes and haemodialysis duration.

Conclusions

These results demonstrated that GNRI is a significant predictor for mortality in haemodialysis patients. The simple method of GNRI is considered to be a clinically useful marker for the assessment of nutritional status in haemodialysis patients.

Keywords: Geriatric Nutritional Risk Index; haemodialysis; malnutrition; mortality

Geriatric Nutritional Risk Indexは簡易栄養スクリーニング指標であるが,維持透析患者の死亡率の有意な指標である

 維持透析患者の MIS と死亡率との相関 Zadeh らが報告し,GNRI と MIS との相関の強さは Yamada が報告しておりますが,Yamada の報告では GNRI と透析患者の死亡率との比較はありませんでした.この論文は GNRI と透析患者の死亡率とを直接比較した報告です.

Geriatric Nutritional Risk Indexは簡易栄養スクリーニング指標であるが,維持透析患者の死亡率の有意な指標である

Ikue Kobayashi, Eiji Ishimura, Yoko Kato, Senji Okuno, Tadashi Yamamoto, Tomoyuki Yamakawa, Katsuhito Mori, Masaaki Inaba and Yoshiki Nishizawa

Nephrol Dial Transplant (2010) 25: 3361-3365

要旨

背景

 低栄養は透析患者の一般的合併症である.最近 Geriatric Nutritional Risk Index (GNRI) が透析患者の栄養状態を簡易で正確に評価するツールとして報告されるようになってきた.我々の研究では透析患者の GNRI と死亡率との相関を調査した.

方法

 我々は 490 名の維持透析患者 (60 ± 12 歳,男性 293 名,女性 197 名) の GNRI を調査し,60 ヶ月間に渡って経過を観察した.全死亡の指標を Kaplan-Meyer 法と Cox 比例ハザード法で検証した.

結果

 GNRI は98.0 ± 6.0 であり,有意に年齢および透析期間と負の相関があった.60 ヶ月間の観察期間中 129 名が死亡した.死亡を鑑別する GNRI の陽性尤度比が最大となるカットオフ値は 90 であった.Kaplan-Meyer 法によると GNRI 90 未満の患者 (n = 50) の生存率は 90 以上の患者 (n = 440) と比較して有意に低かった(log-rank検定p < 0.0001).多変量の Cox 比例ハザード解析ではGNRI が死亡率の有意な指標となることが明らかとなった(年齢,性別,CRP, 糖尿病の存在および透析期間で調整後のハザード比 0.962, 95%CI 0.931 – 0.995, p < 0.05).

結論

 これらの結果は GNRI が透析患者の死亡率の有意な指標であることを示している.この GNRI の簡易な手法は透析患者の栄養状態を評価する臨床的に有用なマーカーであると考えられる.

キーワード:Geriatric Nutritional Risk Index; haemodialysis; malnutrition; mortality

Mediterranean-style diet and risk of ischemic stroke, myocardial infarction, and vascular death: the Northern Manhattan Study

This article has described about the relation between the Mediterranean-style diet score (MeDi score) and risk of ischemic stroke, myocardial infarction, and vascular death on blacks and Hispanics in the United States. Although there is no relation between Mediterranean-style diet and stroke because population was too small, this is the first study that is multiethnic, population based, prospective cohort study in the United States.

Mediterranean-style diet and risk of ischemic stroke, myocardial infarction, and vascular death: the Northern Manhattan Study

Hannah Gardener, Clinton B Wright, Yian Gu, Ryan T Demmer, Bernadette Boden-Albala, Mitchell SV Elkind, Ralph L Sacco, and Nikolaos Scarmeas

Am J Clin Nutr 2011; 94: 1458-64.

Abstract

Background:

A dietary pattern common in regions near the Mediterranean appears to reduce risk of all-cause mortality and ischemic heart disease. Data on blacks and Hispanics in the United States are lacking, and to our knowledge only one study has examined a Mediterranean-style diet (MeDi) in relation to stroke.

Objective:

In this study, we examined an MeDi in relation to vascular events.

Design:

The Northern Manhattan Study is a population-based cohort to determine stroke incidence and risk factors (mean ± SD age of participants: 69 ± 10 y; 64% women; 55% Hispanic, 21% white, and 24% black). Diet was assessed at baseline by using a food-frequency questionnaire in 2568 participants. A higher score on a 0–9 scale represented increased adherence to an MeDi. The relation between the MeDi score and risk of ischemic stroke, myocardial infarction (MI), and vascular death was assessed with Cox models, with control for sociodemographic and vascular risk factors.

Results:

The MeDi-score distribution was as follows: 0–2 (14%), 3 (17%), 4 (22%), 5 (22%), and 6–9 (25%). Over a mean follow-up of 9 y, 518 vascular events accrued (171 ischemic strokes, 133 MIs, and 314 vascular deaths). The MeDi score was inversely associated with risk of the composite outcome of ischemic stroke, MI, or vascular death (P-trend = 0.04) and with vascular death specifically (P-trend = 0.02). Moderate and high MeDi scores were marginally associated with decreased risk of MI. There was no association with ischemic stroke.

Conclusions:

Higher consumption of an MeDi was associated with decreased risk of vascular events. Results support the role of a diet rich in fruit, vegetables, whole grains, fish, and olive oil in the promotion of ideal cardiovascular health.

地中海式料理と虚血性脳卒中,心筋梗塞,血管死との関連:the Northern Manhattan Study

 米国内で地中海料理と心血管疾患・脳血管疾患について調査した試験です.症例数が少なく,脳卒中との間には有意な相関は見られませんでしたが,米国で最初の多民族を対象に前向きコホート試験を行ったという意義があります.考察の文中の丸括弧は参考文献の番号です.和訳の瑕疵の責任は私にあります.

Mediterranean-style diet and risk of ischemic stroke, myocardial infarction, and vascular death: the Northern Manhattan Study

Hannah Gardener, Clinton B Wright, Yian Gu, Ryan T Demmer, Bernadette Boden-Albala, Mitchell SV Elkind, Ralph L Sacco, and Nikolaos Scarmeas

要約

背景 地中海沿岸で一般的にみられる食事パターンは全ての死亡および虚血性心疾患のリスクを減少させているように見える.合衆国における黒人とヒスパニック系でのデータが欠損しており,私たちの知る限り脳卒中に関連する地中海式料理の唯一の試験が行われたのみである.

対象 本試験では我々は地中海式料理と血管イベントの関連について試験した.

デザイン The Northern Manhattan Study は人口に基くコホート研究で,脳卒中発生率と危険因子を定義した.参加者の年齢の平均値と標準偏差は 69 ± 10 歳であり,64% が女性であり,55% がヒスパニック系,21% が白人で 24% が黒人であった.2568 名の参加者から食事頻度のアンケートを行なってベースラインの食事を評価した.0-9 点で表現する点数が高いほど地中海式料理の遵守率が高いことを示す.地中海式料理と虚血性脳卒中,心筋梗塞,心血管死との間の関連は,社会人口統計学的かつ心血管危険因子で制御した Cox モデルによって評価した.

結果 地中海式料理スコアの分布は以下のとおりである.0-2 点 (14%), 3 点 (17%), 4 点 (22%), 5 点 (22%), 6-9 点 (25%). 平均観察期間は9年を超え,518 件の血管イベントが発生した.171 件の虚血性脳卒中,133 件の心筋梗塞,314 件の血管死.地中海式料理スコアは虚血性脳卒中,心筋梗塞,心血管死の複合転帰のリスクと逆相関していた (P = 0.02).中等度または高度の地中海式料理スコアはわずかに心筋梗塞のリスク減少と関連していた.虚血性脳卒中とは何の関連もなかった.

考察 地中海式料理の消費の大きさと心血管死のリスクの減少は関係している.その結果は豊富な果実類,野菜類,全粒穀物,魚類,オリーブオイルを用いた料理が心血管の健康にとって理想的であることを支持している.

Am J Clin Nutr 2011; 94: 1458-64.

導入

 AHA は最近,理想的な心血管の健康を達成するための目的を定義する国を挙げてのキャンペーンを開始した.それには推奨される食事を含み (1), 地中海料理が心血管疾患に対して印象的な効果を有することを示す科学的勧告 (2, 3) を発行した.地中海料理は,地中海沿岸の人々にとっては典型的な食習慣であるが,果実類,野菜類,一価不飽和脂肪酸,魚類,全粒穀物,豆類,ナッツ類を比較的多量に摂取し,中等度のアルコールを消費し,肉や飽和脂肪酸,精白穀物はほとんど摂取しない.故に地中海料理の順守は AHA の食事ガイドラインと整合性がある.地中海料理はその多くの健康上の理由から広く公表されている.多くの試験が地中海料理の消費は全ての原因の死亡率に対する強い防御因子であることを示唆している.幾つかの癌,虚血性心疾患,糖尿病,高血圧,肥満,アルツハイマー病,脂質異常症 (4-14).しかし我々の知る限り,地中海料理と脳卒中のリスクの間の関係を調べたのは過去に1つの試験があるだけだった.主に白人女性の看護師を対象にした大規模コホート試験において,地中海料理は脳卒中と虚血性心疾患とに逆相関するというものである (15).

 合衆国の住民,特にヒスパニック系と黒人における地中海料理の健康への影響に関するデータは限られている.黒人とヒスパニック系住民においては血管疾患,特に脳卒中のリスクが高まっているために (16),人種および民族的多様性を持つ米国の人口においては,修飾可能な危険因子を試験した研究は重要である.本試験の目的は地中海料理と虚血性脳卒中,心筋梗塞,血管死との関連を人口ベースの前向きコホートで調査することであり,同一コミュニティに済む男性と女性,黒人,白人とヒスパニック系住民を含む.

対象と方法

調査対象母集団

 NOMAS は多民族都市人口において脳卒中発生率,危険因子と予後を定義した前向きコホート試験である.マンハッタン北部はニューヨーク市の中でも人種・民族の分布が理想的な地域である.63% のヒスパニック系,20% の非ヒスパニック系黒人,15% の非ヒスパニック系白人が住んでいる.試験の詳細は既に出版されている (17).

 適格な対象とは 1) 虚血性脳卒中と診断されたことがなく,2) 年齢が40歳より高齢であり,3) 北部マンハッタンに3ヶ月以上居住していて電話を持っている人々である.対象者は乱数列による電話で同定し,二ヶ国語を話す訓練された調査員によりインタビューを実施した.電話の応答率は 91% であった.対象者は電話での標本から,対面でのインタビューと評価に進んだ後,採用した.登録応答率は 75% であったが,全体での参加率は 69% であり,総数で 3298 名が採用され,そのうち定期的な接触率は平均で 95% であった.ベースライン以前に心筋梗塞を持つ参加者 (n=237) は除外した.本試験はコロンビア大学とマイアミ大学の倫理委員会が承認し,全対象者から同意を得た.

ベースライン評価

 訓練された二ヶ国語を話す調査員が英語かスペイン語でのインタビューを通じてデータを収集した.身体所見と神経学的所見は神経科医が実施した.人種民族は,米国構成調査をモデルにし,政令15による標準的定義 (18 Stat Report 1977; 77-110: 450-4) に準拠した一連の質問を通じた自己認識に基づいていた.標準的質問は,高血圧・糖尿病・喫煙および心疾患に関する CDC による行動危険因子サーベイランスシステムで採用されている (19 JAMA 1999; 281:53-60).血圧は適切な大きさのカフと水銀血圧計で測定した.高血圧は 140/90 以上(座位にて2回測定した平均値に基づく)か,患者が高血圧と自己申告するか,降圧薬を服用していると自己申告した場合と定義した.糖尿病の定義は,患者が糖尿病と自己申告するか,インスリンか経口血糖降下薬を使用していると自己申告したか,空腹時血糖値 126 mg/dL 以上の場合とした.高コレステロール血症の定義は,総コレステロール値が 200 mg/dL より高いか,スタチンを服用しているか,高コレステロール血症の既往があると自己申告した場合とした.身体活動の定義は,先述したように (20),インタビュー前の2週間で14の異なる余暇活動の頻度と期間とした.

食事

 ベースライン時において,訓練された調査員によって英語かスペイン語で,参加者はブロック国立がん研究所の変法の食品頻度アンケートを受けた.この食事頻度アンケート調査は前年に渡る食事パターンを評価するものである.食品の応答は特徴的なスペイン料理の項目を含んで修飾されていた.我々は以前に述べた地中海料理スコアを構築する方法を継続した (12, 22).まずキロカロリーの摂取量を除き,次のそれぞれのカテゴリーに従って日々の摂取量をグラムで派生して残りを計算した.乳類,肉類,果実類,野菜類(いも類を除く),豆類,シリアル(精製または全粒穀物をすべて含む),魚類 (22).各々はそれぞれ有益な要素(果実類,野菜類,豆類,穀物,魚類)の一つの値に割り当てられた.その消費量は性別に特異的に中央値上かそれより多かった.有害な要素(肉類と乳製品類)は消費量の中央値未満であった.一価不飽和脂肪酸の飽和脂肪酸に対する比率は中央値より上であった.アルコール消費量は軽度又は中等度(前年全体で,週に0日より多く2日以下)であった (19).食事スコアは食事カテゴリーの点数を合計したものである(0-9点).点数が高いほど地中海料理パターンにより近いことを示唆している.スコアは五分位 (0-2, 3, 4, 5, 6-9) の連続変数として解析した.食事頻度データは地中海料理スコアを計算するのに十分であり,NOMAS の参加者の 84% にとって利用可能であった.

前向き観察

 被験者は毎年電話でスクリーニングされた.その目的は生存状況の変化を定義し,神経学的事象を検出し,入院間隔を文書化し,危険因子の状況,服薬の変化,身体能力の変化を見直すことである.陽性とスクリーニングされた被験者には対面による評価のスケジュールを設定した.それにはグラフ化したレビューと神経内科医による検査が含まれていた.入退院情報の病院調査を継続しつつ,それには国際疾病分類第9版が含まれるのだが,臨床転帰事象を検出するのにレビューした.

転帰の定義

 主要な転帰は 1) 突発的な血管イベント(突発的な虚血性脳卒中や心筋梗塞または血管死)同様に 2) 突発的な虚血性脳卒中,3) 突発的な心筋梗塞,4) 血管死である.経過観察の措置と転帰の分類は以前に詳述された (23, 24).全ての入院カルテを見直し,疑われる事象を検証した.転帰事象を特別に訓練した調査員により見直し,可能な場合はカルテを見直した(91% の脳卒中,99% の心筋梗塞).2名の神経内科医が別々に,データの見直し後に脳卒中を分類し,RLS か MSVE の主任研究員の一人が意見の相違に判定を下した.

統計解析

 地中海料理スコアカテゴリー全体の関心の共変量分布は,カテゴリー変数をχ二乗検定を用いて検査し,連続変数は ANOVA にて検査した.それぞれの転帰の指標としてHRs と95% 信頼区間を推定するため,ベースラインから事象までの期間を時間依存性の変数として用いて COX 比例ハザードモデルを構築した.転帰事象を経験しなかった参加者は経過観察の最後に打ち切られた.我々の解析のバイアスを検査するため,我々は2値変数を作成して食事データの欠落 (n=730) を表現することにした.これを転帰の指標としてモデルを作成した.

 我々は地中海料理と血管転帰の間の関係を2つのモデルで評価した.1) 年齢,性別,人種民族,教育,中等度又は重度の身体活動,日々の総キロカロリー消費の平均値,喫煙状況(全く喫煙しない,過去に喫煙していた,現在喫煙中)で調整したもの.2) 交絡因子のような潜在的メディエーターで調整したもので,糖尿病や高血圧,高コレステロール血症や自己申告による心臓病の既往などといったモデル1における共変量を含む.解析の補足として,我々は地中海料理スコアの要素を血管転帰の指標としてモデルに入力した.500 kcal 未満や 4000 kcal より大きな自己申告は食事情報の不正確な報告となる可能性があるため,それらの参加者を除外して注意深く解析を実施した.

結果

 NOMAS の総勢 2568 名の参加者が本試験に含まれた(平均値±標準偏差で表記:68.6 ± 10.3 歳;64% が女性;55% がヒスパニック系;24% が黒人;21% が白人).例のスコアが作られた NOMAS コホート全体での各々の地中海料理スコアの要素の日々の消費量の平均値を Table 1 に示す.共変量の調整後においてさえ,食事データの有用性は転帰事象の著明な指標とはならなかった(複合血管事象におけるHR: 1.12; 95% CI: 0.92, 1.36; P = 0.28).平均観察期間の 9.0 ± 3.5 年間を通じて,518 件の突発的血管イベントが発生し,171 件の虚血性脳卒中,133 件の心筋梗塞,314 件の血管死が含まれた.

 地中海料理スコアで層別化した本試験の人口特性を Table 2 に示す.以下の特性には地中海料理パターンの消費の増加と関連があった.すなわち,適度のアルコール摂取,男性,ヒスパニック系,中等度から重度の身体活動性である.

 連続変数としてモデル化され,地中海料理スコアは次の複合転帰のリスクと逆相関していた.すなわち,虚血性脳卒中,心筋梗塞,身体活動性,摂取カロリー,喫煙 (Table 3).地中海料理スコアが五分位数にカテゴリカルにモデル化された時,指示対象としての最小五分位数(0-2点)によると,傾向検定は著明な逆の投与反応関係を示唆した (Table 3),それぞれの五分位数の効果の推定値と信頼区間の検査は,第3五分位数 (4点以上) より上では可能な閾値効果を示唆するにも関わらず.期待されたように,その傾向は減衰し,食事と血管転帰の間の偶然の経路における潜在的な媒介変数,つまり高血圧,糖尿病,高コレステロール血症と心疾患の既往を含むが,それらでの調整後は,全く著明ではなくなった.しかしながら,第3および第4五分位数(つまり4点と5点)における個人は,最小五分位数の参加者に比べて,まだ複合的血管イベントのリスクが著明に減少していた.モデル2への共変数として加えられた BMI における感度解析においては,結果的に本質的に変化しなかった(データは示していない).人種民族と地中海料理スコアとの間には血管イベントに関連する相互作用は全くみられなかった.

 地中海料理スコアと虚血性脳卒中との間には何の有意な関連もみられなかった (Table 4).点推定値は複合血管イベントより心筋梗塞においてより強力であったにも関わらず,社会人口学的特性,身体活動,個人,喫煙で調整した後の上位3つの五分位数の個人における可能性のある保護効果は第1五分位数に比べて第2五分位数においてのみ有意にリスクを減少させたのみであった (P < 0.10).点推定値は潜在的媒介変数での調整後にわずかに減衰した (Table 4).中等量又は高用量の地中海料理の消費が心筋梗塞のリスクを減少させることが示唆されているにもかかわらず(第1五分位数に比べて第2から第5五分位数),いかなる用量反応関係も証明できなかった.また,BMI を第2モデルに加えた感度分析においても,結果は本質的に変化しなかった(データは示さない).

 地中海料理スコアと血管死との間には用量反応性に逆相関がみられた (Table 4).社会人口学的特性,身体活動,個人,喫煙で調整した後では,地中海料理スコアが1点増加するごとに血管死のリスクが 9% 減少した.地中海料理スコアが最高(6-9点)の五分位数の被験者では最低(0-2点)の五分位数の被験者に比べて血管死のリスクが 33% 減少した.予想通り,この関係は第2モデルにおいては僅かに減少した (Table 4).第2モデルに BMI を共変数として加えた時,効果推定値はわずかに減衰した.血管死のリスクとは独立に相関している地中海料理スコアの要素は,中等度のアルコール消費 (P = 0.004),魚類の多量消費 (P = 0.03),豆類の大量消費 (P = 0.06) であった (Table 5).1日の消費カロリーが 500 未満または 4000 より多いと報告した 74 名の参加者を除外した後の感度解析においても結果は変化しなかった(データは示していない).

考察

 この多民族の人口に基づく前向きコホート試験において,地中海沿岸で観察されたものとより整合性のある食事パターンは,社会人口学的および血管危険因子で調整後の虚血性脳卒中,心筋梗塞,血管死の複合転帰に対して防御的であることを我々は示した.血管死との関連は有意であり,用量依存的に見えた.血管死と逆相関するように見えた地中海料理の要素はアルコール類,魚類,および豆類の消費であった.地中海料理と心筋梗塞との間には全く用量依存性の関係はなかった.しかしながら,すべての共変数で調整後には有意な相関がなかったが,地中海料理を中等度消費する人においてさえ(地中海料理スコア五分位で上から4番目の全員)心筋梗塞に対する陽性の防御的関連が示唆された.心筋梗塞に対する推定値は血管死や複合血管イベントのそれよりも強かったが,133 名の心筋梗塞を起こした人に限っては,この転帰に有意に関連する検出力は低かった.対照的に,地中海料理は虚血性脳卒中のリスクには関連がなかった.

 幾つかの試験において地中海料理の消費と全死亡率の減少,虚血性心疾患や一般的な心血管疾患による死亡の減少,またアルツハイマー病の減少との関連が示されている (12-14, 22, 25).しかしながら,米国内で行われた試験は殆どなく,我々の知る限りにおいては,我々の試験が多民族都市の標本において地中海料理と心筋梗塞および脳卒中との関連を調べた最初の試験であった.

 我々の知る限り,地中海料理と脳卒中のリスクを調査した試験は他に一つだけである(15).全員が女性で主に白人を対象にした看護師健康調査はより多くの地中海料理パターンの消費が脳卒中のリスクの中等度減少と関連していた.我々の試験と比較すると,看護師健康調査の標本数は30倍以上もあり,脳卒中の発症数は10倍あり,その結果より強い検出力と関連していた.看護師健康調査において脳卒中例が虚血性か出血性か分類される際に,虚血性脳卒中との有意な関連は観察されず,推定値の大きさは我々のそれと似ていた.我々は虚血性脳卒中に注目したが,出血性脳卒中を包含しても我々の結果は変化しなかった(データは示さない).それに加えて,非致死性症例と地中海料理との関連よりも,致死的で,ゆえにおそらくより重症の虚血性心疾患と脳卒中の症例と地中海料理との強い関連を著者は報告している(15).この知見は我々の観察と一致しており,地中海料理スコアと血管死との間には用量依存性に有意な相関が見られた.

 虚血性脳卒中が異質で小血管と大血管病変の両者を含むという事実は,我々の試験での地中海料理スコアとの関連の欠損に寄与したかもしれない.一方,心筋梗塞はもっと同質で主要な動脈硬化なのだが,心筋梗塞との間にわずかな相関が示唆された.地中海料理の大血管病変に対する効果があるか否かを定義するため将来のより大規模試験が必要であり,脳卒中のサブタイプ全体に渡る地中海料理の効果を調べる必要がある.

 地中海料理の消費の増加が心血管イベントのリスク低下に関連しているとの我々の所見は,地中海料理の順守度と血管疾患のリスクの無症状のマーカーと逆相関するというこれまでの試験と一致している.地中海料理は脂質組成を改善し (26),内皮機能を改善し (27),収縮期圧及び拡張期圧を低下させ (10),肥満を改善し (8),インスリン抵抗性を改善し (28),C 反応性蛋白 (29) や IL-6 (30) を含む炎症性マーカー濃度を低下させる.

 血管死に対して大きな効果を持つ地中海料理スコアの要素の一つはアルコールである.以前我々は次のことを示した.つまり,NOMAS において中等度のアルコール摂取は脳卒中,心筋梗塞,血管死同様に虚血性脳卒中に対して防御的であることである (19, 31).中等度のアルコール,魚類,豆類の消費はこの標本における血管死と相関する地中海料理スコア要素である.多くの試験が魚類の消費が心血管疾患死亡率を抑制する効果を示しており,それは魚類に豊富に含まれるω-3脂肪酸が寄与している (32).豆類もまたω-3脂肪酸同様蛋白質,食物繊維,葉酸に富み,豆類を食べることはコレステロール濃度を低下させることが知られている (33).

 我々は次の仮説を立てた.すなわち糖尿病,高血圧,高脂血症は地中海料理と血管転帰との関連の潜在的な中間体ではないかと.なぜならこの食事パターンはこれらの危険因子を変える可能性があるからである.地中海料理を消費することはこれらの条件の危険に影響することが示されたが,これらのいかなる条件の診断も個人の食事に影響しうる.我々の食事と危険因子におけるベースラインデータは同時に収集されたため,血管危険因子と我々の参加者の食習慣との一時的な関連は知られておらず,地中海料理と,これらの危険因子を含むモデルからの血管イベントのリスクとの間に関連があるとみなされていると慎重に結論付けられるべきである.しかしながら,我々の所見はこれらの危険因子が調整された時,幾つかの関連が減衰して仲介の可能性を支持していた.

 地中海料理と人種民族との間では血管転帰との関連は認めなかった.おおよそ,NOMAS 参加者の半数がヒスパニック系と自己認識しており,大半がドミニカ共和国から合衆国への移民であった.全体として,NOMAS コホートのベースラインの食習慣は,他のヨーロッパやアメリカのコホート試験において研究された地中海式パターンのそれと比較しても,地中海式パターン以上の一貫性はない (15, 34, 35).特に,果実類,野菜類,魚類,穀類の消費は他のコホートと比較して我々のコホートでは少なかった.それ故,NOMAS コホートの食事パターンは正確な地中海料理(すなわち,地中海沿岸地域に住む人口の食事パターン)を反映していない可能性がある.例えば,一価不飽和脂肪酸の消費は,大部分がオリーブオイルに由来するのだが,我々の人口においては地中海沿岸の人口に比較してかなり低い.この文脈において,我々の試験の結果は,個人が地中海料理を控えめに遵守することさえ(その食習慣が本来の地中海料理とかけ離れた食習慣の被験者と比較すれば)血管転帰に対して防御している可能性がある.しかしながら,我々の所見は次の点も示唆している.すなわち NOMAS コホートにおいて消費された地中海料理の用量は最上位の五分位においてさえ有意に高いとはいえないかも知れず,また防御完全に調整したモデルにおける血管イベントとの強力な関連を検出していない可能性がある.特に有限の数のイベント特異的なエンドポイントに共役した際には.

 民族的に多様な人口であることに加えて,試験の強度は高い追跡率を有し,他の確立された血管疾患の危険因子における包括的データを有していた.しかしながら,我々の試験には幾つかの限界があった.第一に,我々の人口で発生した虚血性脳卒中事故の数と心筋梗塞の数が相対的に小さかったため,地中海料理スコアとの有意相関の検出力を制限した.我々はベースラインでの食事頻度を計測したに過ぎず,故に参加者は,計測された転帰が発生する前に食事を変更したかもしれない.しかし,食事パターンは他の人口ベースの試験においては安定していることが判明している (13).加えて,地中海料理スコアを計算するために有効かつ信頼出来る食事頻度アンケート (21, 36, 37) を使用しているにもかかわらず,食習慣の無作為な誤判別と recall bias の可能性が残る.しかし,殆どの大規模試験では似たような方法に頼っている.我々は先に述べた文献で広く用いられている地中海料理スコアの計算方法を用いたが,しかしこれもまた限界がある.というのは,その点数はコホートと性別特異的な食品の9つのカテゴリーの中央値に依存しているからであり,より完全な用量依存性の関係の試験には容易に可能にはならないからである.測定された変数又は未測定の変数による潜在的な交絡の残留が常に存在するにもかかわらず,多くの潜在的交絡因子による調整後も相関が持続していることは,このバイアスのフォームは,観察された関連を考慮していないように見えることを示唆している.最後に我々は欠落した食事情報のために選択バイアスの可能性を試験し,欠落した食事情報は転帰事象のリスクには無関係であることを示した.これは選択バイアスが我々の試験の結論には影響しないことを示唆している.

結論として,我々はより大規模な地中海料理の消費と血管イベント,特に血管死のリスクの軽減との関係を示した.地中海料理と虚血性脳卒中との相関を支持するエビデンスは得られなかった.我々の知る限り,男性と女性,同じ国に住む多民族人口を含めた試験としては,本試験は合衆国における最初のものである.我々の結果は,理想的な心血管の健康を達成するという2020 AHA の新しい目標を支持するものである.地中海料理パターンは AHA の推奨する食事の幾つかの方法に合致するからである.地中海料理と血管疾患,特に脳卒中との関連を解明するにはより大規模な人口における追加試験が必要である.致死的事象と非致死的事象の相対関係はさらなる試験に値する.